小瓶 3 ページ19
次の日曜、桜を見たのは
あの日、考えもしなかった場所だった
無機質な窓越しに見える桜…
垂れ込める雲…
「綺麗だね…」
「桜…」
「凄く…綺麗…」
花散らしの風に吹かれて
千々に散っていく桜を見て君は言った…
散りゆく…花びら…
「綺麗…」
毎年…
桜が散るのを見て
あんなに寂しがり、残念がってたのに…
「桜も…散るんだよ…」
「いつか、必ず…」
裕「A…」
「全部…散ってなくなるんだよね…」
裕「……」
「必ず…」
…
…
…
「だから…」
「寂しくなんかない…」
「だって…皆んな一緒だもん…」
「皆んな…一緒…」
「桜も…チューリップも、パンジーも…」
「犬も…猫も…小鳥も…皆んな」
「だから…」
…
…
「寂しくない…」
「寂しくないよね…?」
君の歪んだ笑みを見た時…
俺や医者や看護師が
必死に隠してる事なんて…
Aは
もうとっくに気づいてる…
そう
確信した
「裕太…」
「本当の事を教えて…」
裕「……」
「本当の事を知りたいの…」
「私の事だから…」
裕「A…」
「ううん…」
「…"私達"の…事だから…」
「そうだよね?……裕太?」
ベッドの上
白いシーツに包まれた君が
俺を見つめる
俺の大好きな少しグレーがかった瞳で
真っ直ぐに俺を見て…
…
…
もう…
隠せないと思った
そして
このまま隠し続ける事に
何の意味があるんだろう…と思った
隠した所で…
未来は変わらない…
運命は変わらない…
君一人だけを
不安と、絶望の中に置き去りにするだけ…
そんな事できるわけない…
…
…
裕「俺は….いつも一緒にいる…」
裕「どんな時も…」
裕「何があっても…」
裕「君と…」
裕「一緒にいるよ…」
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作者名:トウコ | 作成日時:2018年1月1日 18時