雫。3 & 短編(12/11〜)

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ふふ、

すっかり…おばさんの手





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冬の水仕事は…大好きな草花の仕事でもちょっと辛い






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藤ヶ谷さんが用意してくれたウィークリーマンションを二週間で解約して
小さなアパートに引っ越し、ホームセンターの
草花売り場に勤めて…三度目の冬






12月は、シクラメンやポインセチア

クリスマスを彩る花々がいっぱい






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『七瀬さん、これ移しといてー』


最初は聞き慣れなかった旧姓も、今は自然に
なった








「…はーい！」



あの日からも…私の家族

裕太のこと

桃果のこと

陸のことを思わない日はない









それでも…

私は…あそこには戻れないし…

前を向いて生きていくしかない







1人で……生きていくしかない








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『あの…観葉植物って、中ですか？』







店の仕事に慣れたように

いつか1人にも慣れるだろう








「….あ、はい…」







「…ご案内しますか？」






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『お願いしてもいいですか？』



お洒落な帽子を被った物腰の柔らかな男性は、

マスク越しにそう言った







「…はい、勿論です…」






「…えと…どのようなのがお好みですか？」







『ん…と、旅人の木を…』






旅人の木…？





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裕太の部屋にあった木だ







『枯れてしまって…』





？





『手入れをしてくれる人が居なくなったら…
枯れてしまったんですよ…』







「…そう…なんですね、
結構…元気な木なんですけどね…」







『…そう…ですね』






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「…何か、ありましたか？」







『大切な人が…居なくなったから…かな…』






「…そう…ですか、それは…お気の毒…に…」








『三年前から…
ちょっとずつ…ちょっとずつ元気がなくなって…』








『….とうとう…』








「…そうだったんですね、今度は…元気に育つといいですね…」









『それは…どうかな…』







？





『それに…』







「…お客様？」







『このままじゃ…』






『僕の方が…ダメになりそうだ…』

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