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「酔ってよ」
「雅紀？」
「俺に・・・酔ってよ」
そのまま翔ちゃんの唇にキスをする。
何度も。
何度も。
キスをやめて翔ちゃんを見ると、翔ちゃんは微笑んだ。
「俺はね。もう雅紀に酔いっぱなし。全然、醒めないんだ。今だって」
翔ちゃんは、チョコを俺に差し出す。
「剥いて」
俺は言われた通りに剥く。
「チョコを剥いてる雅紀を見て、雅紀を剥きたいって思ってる」
俺だって、そう思ってるよ。
だから、それを翔ちゃんだと思って、丁寧に剥く。
剥いたチョコを翔ちゃんの口に持っていく。
「雅紀も味見して」
翔ちゃんは、半分ぐらいの所を噛んで、俺に唇を近づける。
「うん」
カリ。
チョコを噛んで、味わう。
「美味しい」
でも、何か物足りない。
そのまま翔ちゃんにキスする。
チョコの味のキス。
甘い、翔ちゃんを堪能する様に翔ちゃんの口内に舌を入れる。
チョコと、トロリとした感触と翔ちゃんの舌。
足りないと思った物が、満たされていく。
そして。
満たされた後にやって来たのは。
翔ちゃんが欲しい、っていう欲望。
どんどん、どんどん・・・欲しくなる。
「翔ちゃん」
「ん？」
「バレンタインだから、俺のチョコバナナも食べて？」
不思議そうな顔をする翔ちゃんに、その部分を指差す。
「チョコバナナ、って」
翔ちゃんは苦笑した。
そして、クスクス笑った。
「じゃ俺のも、食べる？」
「うん。翔ちゃんのモノは、ぜーんぶいただきます。だから、ベッド行こ？」
俺は立ち上がった。
両手を持って、翔ちゃんを椅子から立ち上がらせて。
そのまま寝室へと導く。
「雅紀には、敵わないな」
翔ちゃんはそう言うけど。
俺の方がよっぽど、翔ちゃんに敵わないんだよ？
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作者名：佐音 芽衣 | 作成日時：2013年9月27日 21時
