俺の隣のすとーかーちゃん番外編 (ページ25)

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潤くんがコーヒーに口をつけない理由は知ってる。
ここのコーヒーは不味いから。
この店のマスターは気に入った人にしか、美味しいコーヒーを出さない。
潤くんは以前飲んだ時に、不味かったって話してた。
それに興味を引かれてこの店に来た時。
とても美味しいコーヒーを入れてくれた、この店を俺は気に入ってる。
潤くんの仕事も見られるしね。

「俺のおごりのコーヒーが飲めないの？」

笑顔の俺に、潤くんは悔しそうな顔をしたけれど。
深くため息をついて、ゆっくりとコーヒーを口に含んだ。
表情がみるみる変わっていく。

「・・・美味しい」

「でしょ？潤くん好みでしょ？」

俺はマスターと視線を合わせ、ニヤリと笑った。
今日は特別な日だから、潤くんに美味しいコーヒーを飲ませたい。
マスターに無理を言って、潤くん好みの味にしてもらった。
潤くんはもう一度、今度は味わうようにコーヒーを飲んでる。
よかった。
気に入ってくれたみたいだね。
その時、俺と潤くんの前にケーキが出された。

「俺のおごり」

マスターがウインクした。
俺が特別な日、って言ったから用意してくれたのかな？
潤くんと一緒にそれを食べる。
甘すぎず、苦すぎず。
コーヒーにとてもあってる。

「美味しいね、潤くん」

「はい」

幸せそうな顔をしてる潤くんに、ありがとう、と心の中で付け加える。

「ストーカーとその被害者が、笑ってコーヒーを飲んでる」

マスターが首を傾げたのを見て、俺たちは顔を見合わせて笑った。