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「それに真壁くんの知識や経験があれば、澪奈様にとっても鬼に金棒…!」
そこまで言って自我を取り戻したのか、茅野ちゃんは私を置いて逃げる様に病室を出ていった。ちょっと待ってと追いかけるけど、もう既に近くにはいない。なんという足の速さ。
『茅野ちゃん、澪奈のこと大好きなんだ。だから許してくれると嬉しい』
「……大丈夫。わかってるよ。」
『それと、私もマネージャーになってみるのはいいんじゃないかと思う。あとになって後悔するより、一度そこに身を置いてみるのもいいんじゃないかな』
私が後悔したから。付け足せば、何かあったのかと問われた。何、と言っても彼と似たような十字架を背負っただけなのだが。
『私、中学の頃バスケしてたの。強くはなかったけれど、毎日一生懸命練習して、部員多かったのに中学最後の試合にはコートにも立てた。勿論高校に入ってもバスケは続けるつもりで入部した。だけど、あることが理由でそれが出来なくなって』
「怪我…したのか?」
『ううん。どこも故障はしなかったし、家庭の事情とかでも無いよ。……ちょっとした病気でさ、入院しないといけなくなって。』
何となく病室の中が重い空気で満たされるけど、私の中では解決した事だし、もう苦しくはない。
『そのままの流れで退部したんだ。どうせもう出来ないからって。退院した後マネージャーにって顧問が誘ってくれたんだけど、私が出来ないバスケを皆が楽しそうにやっているのを見るのが嫌で断った。』
「それを俺もやれって?」
『うん。言ったでしょ、後悔したって。私は今でもバスケをやりたい。でも出来ない。それなら支える側でバスケに関わって行こう。そう早く思えたのなら良かったのにって後悔してる。だから真壁君には後悔して欲しくない。』
真壁君は黙って聞いてくれていた。
『真壁君がマネージャーをして、それでも嫌って思うんだったらやめた方がいいと思う。でも、やれば良かったって思って欲しくない。だから、私はマネージャーとして澪奈を支える真壁君の姿がみたい』
茅野ちゃんの言った通り、真壁君程の実力があった選手だ。そんな彼が澪奈のサポートをするとなると、彼自身の経験やその時の対処法、それら全てが澪奈の味方になる。
どうかな、と笑えばしばらく俯いたままの真壁君だったけど、その後は笑ってくれた
「澪奈と北原の為にも頑張ってみるよ」
『何かあったら私も手伝う』
その時はよろしく。真壁君の中で何かが吹っ切れたように見えた
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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (2022年8月20日 18時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎(プロフ) - 初めまして!柊一颯落ちで物凄く嬉しいです!!更新待っています!これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 21時) (レス) id: bdaf0ebad8 (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - しろごめさん» ありがとうございます!柊先生オチです(≧ω≦)bこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年3月16日 8時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
しろごめ(プロフ) - コメント失礼します!ぶっきー落ちと聞いて見に来ました!笑更新頑張ってください、応援してます!!(*´∀`*) (2019年3月15日 23時) (レス) id: f6e80c062e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くすさな x他1人 | 作成日時:2019年3月14日 23時