君がいない明日には#2【3年A組】【柊一颯】

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電話越しの郡司さんの推理はどれも筋が通っていて、誰もが正解を期待した。だけど私の中で引っかかったことが一つ。

《恐らくなにかが付着して洗ったんだろう。そこで二人に、その日何を食べたのか聞いてもらった。その結果、一人がトマトジュースを飲んでいた。》

「トマトジュース…確かにトマトジュースならオレンジ色のシミがつきそうですねぇ……で、その生徒は、一体誰だったんですか？」

2人が食べていた物を特定すればシミの正体もわかり、同時に犯人特定が出来る。これも筋が通っているのだ。そう、通り過ぎている。逆に不自然な程に。そこで私が気になったのは郡司さんの言葉…というより言い回しに少しの違和感。

《熊沢花恋だ》

｢っ！……違うっ…私じゃない……｣

皆の目線が一斉に熊沢さんに刺さる。彼女は無実を主張していた。当たり前だ。犯人は里見君なのだから。

警部補は里見君でなく、熊沢さんを犯人だと言った。そして気になるのは、その日何を食べたのか"聞いてもらった"と彼が言っていた事。聞いてもらったという事は、彼に情報を内部から流している人物が居るのだ。

｢私じゃないっ!!……私は大会の日はゼリーしか食べないって言ったでしょ?!｣

誤解をとくために必死に無実を主張し続ける彼女に向けるみんなの目線は冷たい。だけどそれは直ぐに覆されることになる。彼女はまっすぐ先生を見ていたのだ。まるで先生に語りかけるように。

すると今まで黙って事の行く末を見守ってきた先生が動いた。わざとらしくあげたその声は郡司さん、そしてクラスの皆を困惑させる。

「え？……あ！そうだった、すまない熊沢！先生、間違えちゃったよ!!アハハハ！」

《…おいおいちょっと待てよ。どういうことだ！？》

焦る郡司さんの声に先生はスンッと表情を元に戻した。その切り替え能力は流石俳優を目指していただけある。変わりように肝を抜かれた。

「刑事さん。いやぁ、大変素晴らしい洞察力でした。しかし貴方は………内通者を信じ過ぎた。」

内通者……やっぱり内部の情報を外に漏らしている人が居るみたいだ。先生がその内通者のことを知っていたためか、先生がその内通者かと疑う警部補だったがどうやらそうじゃないらしい。先生は内通者と郡司さんとのmindvoiceのやり取りを覗き込み、里見君がゼリーを食べ熊沢さんがトマトジュースを飲んだと嘘の情報を流したみたいだった

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