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男性が目を細める。



私はきゅっと口の端を結ぶ。


軽率に何でも思っちゃいけない。



それだけを考えて、薬研さんを見た。



「それじゃあ行こうぜ」



どこに、と目で聞く。




薬研さんはまっすぐな目で私を見て、口を開いてから一時の沈黙を設けて、言った。




「大広間に」
































本丸に近づいていくにつれて、他愛ない話は途絶えていった。



無音でないと、怖いのだ。




いつ足音が聞こえてくるかわからないから。




…刃が風を切る音が、いつ聞こえてもおかしくなかったから。





「あなや…」



びくりとして振り向く。




そこにいたのは、三日月宗近…なのだが、黒い方…だろうか。





あれま…みたいなことを言って、怪しく笑む。



黒い方だ。




確信してから、うまくつばが飲み込めずごぐりとのどが変な音を出す。




…足音も、何もしなかった。



私なりに警戒して進んでいた。



なのに、私の背後に立っている。



薬研さんは先導して歩いてくれていたから、今の状況では私の後ろにいる。


男性は蛇になってどこか行った。



「しまっ…」



しまったと言った薬研さんの手にはきっと自身…刀が握られているのだろう。



三日月宗近は手をあげて、制す。



今にも斬りかかる勢いなのだろうか。



「少しこやつと話がしたいだけだ」




…たぶん、というか絶対、薬研さん今、こいつと話し?って思ってる。


明らかに怪訝そうな顔をしてるオーラ?を感じてる。私。





「できれば二人で…と思っておるのだが」



「できれば、なんて思ってる風には見えないぜ」




ゆらりと、空気が揺らいだ。気がした。



「そうだなぁ」



瞳に赤い光りが灯ったと思った。



すぐ、だった。



澄んだ水に、黒い絵の具を垂らした、その、不快な。



目の前が暗くなり始めて、さすがに私も反射して、抵抗してみたが無意味だった。



やばい。そう思った時はすでに遅くて。




「あぁ」と、どちらの声か。



聞こえて、まぶたは落ちた。

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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時

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