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恐怖心が無かったことはない。


ここに入る前、あの巨大な門を前にして、どんなに怖かったか。


見たこともない暗い未知の地で。


嗅いだこともないような濃く死を臭わせる臭いを漂わせて。


強い?強くないよ。


私が認めたくなかっただけで、目を逸らしていただけで、?


強いなんて。



男性に、睨むような視線を向ける。


弱いというのも聞きたくなかったが、強いというのも聞きたくなかった。


自分勝手な矛盾する考えが頭を支配する。



「ふふ」


男性は口元だけで笑う。


「そういう所です。あなたは弱くありながら強い」


男性もまた、訳の分からない矛盾を言う。


『…今だって怖いんです。強く気を保ってないと足が震えます。指先だって感覚が無くなって、冷や汗だって出てきます。ただ立っているだけでもこうなのに、神様を前にしてどうしろと』


神様の殺気は恐ろしかった。


おぞましい。



漫画とかアニメで殺気で動けなくなる。そんな描写がたまにあるが、本当に、比にならない。


あの有名なメドゥーサと目を合わせたみたいに、動かなくなる。



そんな状況を、奇跡的にくぐり抜けて、今ここで男性と話してる。



「頑張りましたね」


ぷち


そんな音が、聞こえた気がした。




.







.







.












『………頑張りましたよ!!!!!!!今も………頑張ってるんですよ!!!!!!!』



出たいとも思わないですけど!!!!



今この状況で死にたいとも思ってません!!!!!!!!




『こんなんだったら生きてやりますよ!!!!』




盛大に叫んだ。


もう知らん。もう神様が一気に何十人も攻めてきたって知らん。



びっくりするくらい大きな声で生きる宣言をした。逆を言うと死なない宣言。



分かったかぁバカヤローーー!!!!



とも叫びたかったがさすがにやめておいた。



男性を見ると、くすくすと笑っている。



「そういうところ好きですよ」



えっ


『あなたに好かれたってなんの得もなさそうなのでお断りします』



男性はにこにこし続けている。



私も真似してにこにこしてみた。




「はい。」







『はい。?』




腫れたまぶたなど気にせず笑う。




「やはり鈴さんは笑顔がお似合いです」


急に真顔に戻る男性。



真顔に戻る女性。(私)



にこっ




にこっ




「はい」




『はい?』



というやり取りを何度かして。



「おい!」



ずっと聞きたかった、声が聞こえた。

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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時

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