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薬研さんと三日月宗近さん以外の神様が、すっと立ち上がった。


流れるように、刀の…柄?に手をかける。



目の赤い神様だけじゃなく、私の目の前の空間は、殺気で満ちていた。



なんで目の赤い神様は私を見ているのだろう。


そんなに私はいてはいけないのだろうか。



赤い目には、光などない。


そして、その色からは考えられないほど冷たい眼差しだった。



体が震える。


冷や汗が、首筋を伝っていく。


焦点が震えてきた。



頭が真っ白になったり高速に回転したり、もうぐちゃぐちゃになっていた。


「何用だ。三日月宗近」


三日月宗近さんが、口を開いた。


目の赤い神様の殺気が増した。



当たり前に目には見えないけれど、刺さるような視線、歪む表情が、物語っていた。



よくよく思えば怒られるようなことはしていないつもりだ。


そうだよ。


私は神様を顕現して、お札をちぎって、それくらいでしょ?


私のこういう態度が癪にさわるのだろうか。



神様だからってなにも自己中心的な考えで一人の人間を殺すなんてことは許されないでしょ。


震えながら強がって、哀れすぎるよなぁ。




なんだか進展がなくて、悪態を吐いてしまう。


心の中だけだが。


「…消える覚悟をしてまで堕ちた理由なんだ?教えてくれよ。旦那」


薬研さんがなんとも絶妙なタイミングで話し出した。



消える覚悟?…とは、どういうことだろう。



汗が耳の後ろを伝って、顎に溜まって落ちる。


けっこう前のめりになっている体勢だから、畳に汗は落ちた。


たっ。という音がやけに大きく聞こえた。


目の赤い三日月宗近さんは、ゆっくりと刀を鞘に戻した。



ほっとしたのは言うまでもない。


もう、目の赤い三日月宗近さんの思考が分からない。



見た目や口調、雰囲気から、地位…と言うかなんと言うか、偉そう…でもない。


語彙力が消失してしまった私は、また絶望した。



二回も絶望するとは。



「堕ちてしまったのは、あの女の術によってだ。…俺も油断してしまった」


「ほう?」



「あやつが死んでも尚…体の自由が利かん…。やはりお前に近づくと堕ちてしまうようだな…」



くそ女が目の赤い三日月宗近さんを操ってる…と言うことか。


くそ女はとことんくそなようだ。



…私が起きたときに会った目の赤い三日月宗近さんの、あの言葉は…本気だったよなぁ。



もしかして、三日月宗近さんもう一人いらっしゃる説。



私はなぜそんな恐ろしいことを考えてしまったのかと、自分を少しだけ責めた。

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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時

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