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「骨壺…!?」


訝しげに呟いたのは、和泉守さんだった。



他の皆さんも、考えているようだった。


その中に一人、わからないと言うように首をかしげている方が。


三日月宗近さんだ。


「…だが、主は死んではないな」


その言葉に驚く。


確かに、骨壺はあった。


そのさにわさんだとは断言できないけれど。


皆さんも、驚いているようだった。


「そりゃあどういう意味だ…?」


和泉守さんの言葉に、一斉に頷く。


「微かだが、主の霊力はまだ感じられる」


「それは本当か!?三日月さん!」


即座に獅子王さんが小さく叫んだ。


さにわさんが生きてる…?


じゃあ、どこにいるんだろう。


まだ、行ってないところがあるから、希望はある。


きっと、あのくそ女のことだから、たくさんの仕掛けがあるんだろうな。



罠にはまって死ななきゃいいけどな。




「それにしても、やることが多すぎるな」


薬研さんが、隣で呟いた。


皆さんがいろいろ話し合っている横で、ひそひそと話す。


「お前は、大将の刀を探すんだろ?」


あたりまえのような顔をして言うものだから、気づくのに少しの時間を要した。


『…え?な、なんで知ってるんですか?』


言った覚えはない。


ただ、一人で目標としていただけなのに、薬研さんは知っていた。


「あぁ…いや、旦那たちが大将の刀だってわかったとき、霊力が喜んでたからな」


心の中を覗かれたみたいで、どきりとした。


『そうだったんですか』



「まあ探すのはいいんだが、堕ちた三日月の旦那だよなぁ」


すぱぁん!!


ガキィン!!



二つの類の違う音が、突然鼓膜を打った。



驚いて振り向くと、真っ黒な雰囲気を纏った、また目を赤くした神様がいた。


『ひっ…』


勝手に喉が鳴る。


なんたって、私のすぐ後ろは襖だったから。



「今はまだ大丈夫だ。結界がある」


薬研さんが優しい声で言った。


心音も静かになってきた。



「小娘。俺の後ろに来い」


三日月宗近さんは、口元を隠して、目の赤い神様から目を離さずに言う。


この状況で動くのには勇気が要ったが、薬研さんが手をとってくれたお陰で、動くことができた。



似ても似つかないオーラを纏っている目の赤い神様。


でもやはり、同じ三日月宗近さんだろう。


結界は襖の外に張った方がよかったと心底後悔した。


いや、三日月宗近さんが言ってくれなければ私は死んでいた。


動かない目の赤い神様と視線を交えたまま、私は硬直していた。

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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時

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