Spilal Step (ページ2)

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マサイは、大きく腕を広げた。

Aがゆっくりとマサイに近づくと、ぎゅっとハグをする。

A「マサイ、あったかいね。・・・心臓の音、早いし。」

マサイの腕の中でAがくすくすと笑うと、マサイはさらに抱きしめる腕の力を込めた。

マサイ「本当は泣きたいんだろ？泣けばいいじゃん。どうせ、顔見えねえし。」

Aはマサイの温かさに落ち着いてきて、マサイの腕をポンポンと叩いた。

A「・・・本当に大丈夫だよ。マサイのおかげで落ち着いてきたし。ありがとう」

そう言ってAがマサイの腕の中から出ようとしても、マサイはなかなか開放してくれなかった。

A「ちょっと、マサイ。・・・」

マサイ「ダメ、オレの気が済まないから」

その言葉にAが驚いていると、マサイの心臓の音が少し早くなったようで、体温も上がったような気がした。

マサイ「なあ、A・・・。オレさ、ずっと、こうしたかったんだ。オレさ、ずっとAのこと、好きだったんだ」

小さいけど、Aにはっきり聞こえた言葉。

A「え？なんで？どうして？」

思わず、マサイから体をはなしたAは、マサイを驚いた眼で見つめた。

驚いたままのAに、マサイは優しい笑顔になって、語り掛ける。

マサイ「本当だよ。中学から、ずっと好きだったんだ。高校違って、もう会えないってあきらめてたけど、グループやってて、また会えて。すんげえうれしかったんだ」

マサイの突然の告白に戸惑いを隠しきれないでいると、マサイは笑顔のまま続けた。

マサイ「今、大事な時期だってわかってるけど、どっちもオレにとっては大事だから」

Aはマサイから視線を外すと、小さく「ごめん」と声に出し、スマホと財布を持つ。

A「・・・ごめん、マサイ。・・・ちょっとだけ、ちょっとだけ、時間、ちょうだい。
頭、冷やしてくるわ」

そう言って、ふらふらと、マサイハウスから出て行った。