フェチズム

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(彼女side)

次の日、気分をスッキリさせたくて、仕事終わりに体育館に寄った。バレーボールの音を聞きたかった。

そっと体育館を覗けば、もう片付け中だった。

私の存在に気付いた後輩らしき子が石川くんに声をかけてくれた。

「おっ！」と人懐っこい笑顔で寄ってきてくれるので、少し嬉しくなってしまう。

「どしたの？２日連チャンなんて珍しい」

「いや、ちょっと…。バレーの音聞いてスカッとしたくて」と言えば

フッと笑って
「ほらそこで見てなよ！特別に一本オマケでサーブ打ってあげる！」
と首にかけていたタオルを私にホイッと渡してボールを取りに行ってしまった。

私は無意識にタオルに鼻を埋め深呼吸…。
汗に混じる彼の香り…。

"あぁ、癒される…"

「ほら、Aちゃん、行くよ！」

シュッとボールを上げ、ダンと打った…。

時間が止まったみたいだった。

またニコニコ顔で戻ってきて、
「どうだった？」

「凄かった！キレイだね！カッコいい！」素直に思ったことを言えば

勝ち誇った笑みを見せた。

私も笑ってしまい
「あー元気出た！」

「それよりAちゃん、タオル、いつまで嗅いでるの？」

「あぁ〜ごめんなさい。完全に無意識でした。」

「マジで嗅いでたのかよ…。汗臭いだろうに、ひくわ〜笑」

「いや、全然臭くないよ。安定の癒し匂い！！」

「そんな自信満々に言われてもこっちが恥ずかしいわ！」

「ホントに、ごめん。」

「てか、Aちゃん何かあったんでしょ？話聞いてあげるからご飯いこう！」

「え？いや、そこまでしてくれなくても…。」

「昨日から元気ないの分かってたし！とりあえずシャワー浴びてから行くからこないだの居酒屋で待っててね！」

私の手からタオルを奪い、頭をポンとして行ってしまった。

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