フェチズム

気付き ページ9

(彼女side)

石川くんとマネジメント契約を結んでから、相手のことをちゃんと知ろうと思って大学の練習を見に行ってみた。
そうしたらバレーボールの音と迫力にハマってしまい、仕事の後とかに眺めると心が洗われる気がした。

私は最近、仕事も恋愛も上手くいっていなかった…。
実は、石川くんと仕事で顔合わせたときに同席していた上司と付き合ってるのだが、仕事の考え方に違いが出てきた。

私は石川くんにはバレーボールの邪魔にならない程度でTVとかの出演を受ければ良いと思っているが、上司は売り込み時だからとお金になるからと石川くんの意向に添わない話も持ってくる。

私が強く言えれば良いんだけど、上司は私の初めての彼氏で年も20歳上。新人の時に一から仕事を教えてくれた人でどうしても言い負かされてしまう…。

最近はこんな自分が本当に嫌だった。


今日は石川くんへ依頼があったTV番組の資料を確認してもらうために練習中の体育館に来た。

練習が終わり、石川くんが控え室に来てくれた。

資料を渡し、確認してもらう…。

指長いな…また石川くんの匂いに触れたいな、なんてジーと見つめてしまった。

「Aちゃんさ、今後バラエティー減らせる？話すの苦手だし、出来れば避けたい」

「そうだよね…。」

「つーか、Aちゃん今日デートでしょ？」

「え？何でデートって分かるの？」

「化粧と匂い。いつもと違うから、その化粧と匂いで来るときはデートじゃないかと…でも今日はあんまり嬉しそうじゃないね」


「……。」

私の気持ちを見込んでか

「まぁ何かあったらいつでも話聞いてあげるよ。いつもお世話になってるしね。」

頭をポンとされた。
その時に微かに香った石川くんの香りに何故だか胸が苦しくなった。



そして、また今日も彼氏と会えば、私の意見は聞いてもらえず、丸め込まれ、最終的には抱かれてしまう…。

最近は一生懸命大人っぽい化粧して、そんなに好きではない香りがする彼氏から貰った香水をつけて…
年上の彼氏に合わせるために背伸びをしている自分が凄く苦しくなってきていた。

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