フェチズム

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年も明け少しした頃、Aちゃんから仕事の連絡が来た。

そろそろこっちに来てくれる頃かななんてメールを開いたら「○日に、上司と二人で伺うことになりました。」って。

マジかよ…。楽しみにしてたのに、よりによってあの男と来るのかよ。

LINEを開けば
Aメール見ましたか?時間がある時に電話下さい。



夜寝る前に電話をかける｡日本だと朝方かな？

「おはよ。」って寝起きで可愛い声がする。

Aちゃんが悪い訳ではないのは分かっているのに俺がどことなく不機嫌なのが伝わるのか何度も"ごめんね"って言われる。

俺の家にはもちろん泊まれないし…、実は予算の都合上ツインで同室だと言う…。

イライラする…。

「Aちゃんが悪くないのはわかるけど、ちょっと考えさせて…」って電話を切った。


俺はAちゃんの元カレであるあの男のことを信用出来ない…。今回だって、同じ部屋にしたことに何か企みがあるんじゃないかと思ってしまう。


そしてその日をむかえた。

イタリアに来たのは上司１人。


どうしても心配だし、二人で泊まらせることが嫌だった俺は、直接上司と連絡を取って「あなたが来てくれるなら別に彼女は来なくて大丈夫」と言った。

Aちゃんには、悲しまれて怒られたけど、どうしても俺も退けなかったので、理由を説明して納得してもらった。

俺とAちゃんが繋がっていることを知らない上司は、１人という体で彼女にも来て欲しいとお願いしてきたそうだが、そこはAちゃんが本当に頑張って、無理やり別の仕事を入れたりして断ってくれた。

"やっぱり信用出来ない嫌な奴だな"



出来れば会いたくない。それが俺の本音だった。

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