【wrwrd!】ダンガンロンパ Last〜ボクらのカンキンユートピア〜Part9

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ30

食堂に着くと、そこには既に出来上がった朝食をたった一人で運ぶエーミールくんがいた。

「あ、おはようございます」

エーミールくんは私たちに気が付くと、いつもの調子で挨拶をする。
何が起きているのか訳が分からない私たちは、彼に誘導されるまま席に着いた。


「今日は私が作ってみました。たった五人分ですし、Aさんばかりに任せるのも良くないと思ったので」
「ありがとう、ございます…」

「簡単なものですけど」と淡々と進めるエーミールくんの勢いに飲まれ、私も思わず敬語で返す。
どうやらエーミールくんは、冷凍のパイシートでガレットを作ったらしい。
朝からお洒落なもの作るんだなぁと感心している間に、ゾムくんとショッピくんはさっさと食べ始めた。

「…不本意やけど、一応あの人のも作りました」

そう言ってエーミールくんは、トレーの上に乗せられた朝食を指差す。
「あの人」とは勿論グルちゃんのことだろう。

「ありがとう、後でグルちゃんの部屋に持って行こう」
『その必要はありませぇーん！！』



突如ノイズ混じりの聞き慣れた声が食堂に響き、私たちは驚く。
声の主を探していると、見慣れた人形が天井から降って来た。

「うわっ！」

流石のショッピくんも、上から降って来るとは思わなかったようで声を上げる。
降って来た人形とは、当然茶番ちゃんのことだ。
茶番ちゃんは降って来た時にぶつけたらしい腰をさすりながら立ち上がった。

「なんやお前、突然降って来やがって」
『随分な言い草だなぁ、神様に頼まれてお前らにプレゼントを持ってきたってのに』
「…プレゼント？」

茶番ちゃんがくれるプレゼントなんて、ロクなものじゃないだろうが。

『そのためにも全員揃ってもらわないと困るんだよね！てな訳でグルッペンを連れて来たよ！』
「は？」

その言葉と同時に、食堂の出入り口の扉からグルちゃんが入って来た。
彼は私たちのことなんて全く気にしていない様子で、少し離れた席に着く。

「グルッペン、お前…」
「そこの天使に言われて来ただけだ。用が済んだらすぐ部屋に戻る」

敵意を剥き出しにするゾムくんたちと違い、グルちゃんは涼しい顔をして脚を組んだ。
茶番ちゃんはそれを見届けてから、本題に入る。


『プレゼントと言うか、まあ今回の‘‘動機’’なんだけどね』
「っえ、もう…？」

私は思わず声を漏らした。
つい先日ロボロくんの裁判が終わったばかりだ。
今までのペースを考えると、動機を配るのには早すぎる。

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