【wrwrd!】ダンガンロンパ Last〜ボクらのカンキンユートピア〜Part9

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ23

武器庫の中を見て回っていると、並ぶ戦車たちの陰に、見覚えのあるロボットが立っていた。

「きゃっ！？」

思わず声を上げると、エーミールくんたちが慌てて駆け寄って来た。
そこにいたのは、マンちゃんが処刑されたときに茶番ちゃんが操縦していたロボットだ。

「コレなんやったっけ、茶番ちゃんDX？」
「自動操縦じゃなかったと思うし、今は動かへんやろ」

そう言いながらショッピくんとエーミールくんはロボットに近づく。
私は目の前で殺されたマンちゃんのことを思い出し、嘔気に襲われて口を覆った。

「ゔっ…」
「Aちゃん！」

しかし三人が見ている中で吐くわけにもいかないし、私は何とか耐えて息を飲む。

「ごめんっ…マンちゃんのこと思い出しちゃって…」
「………」

死体を発見したときとは違う。
大切な人が、目の前で殺され、私を見る目が忘れられなくて。
シャオロンくんの死体発見現場になった女子トイレは平気で行けるのに、マンちゃんを殺したロボットは視界に入れることもできない。
私はロボットを出来るだけ見ないように「もう大丈夫」と、背中をさすってくれたゾムくんにお礼を言った。

「…大丈夫ですか？」
「うん。ごめんね、皆は平気なのに」

私ばかりがマンちゃんの死を引きずって、三人の探索の足手まといになっているのが分かる。
申し訳なさと自分の弱さで涙が出そうになったが、私は目尻を軽く拭って誤魔化した。


「……Aさんは弱くないですよ、結構強いと思います」
「っへ？」

突然そんなことを言い出したショッピくんに、私は泣くのも忘れて目を丸くする。

「あ、すいません。なんか自分のことか弱い女の子だと思ってるみたいだったんで」
「は？」

ショッピくんの言葉に驚いて声を漏らすと、隣でゾムくんが吹き出した。
ショッピくんも大分失礼だが、そこで笑うゾムくんもまあまあ失礼だと思う。

「前々から思ってたんですけど、Aさんって結構気持ち悪いんですよね。目の前で人が頻繁に死ぬような才能じゃないのに、死体見た翌日には何事もなかったかのような態度してて」
「え、そんな…」
「普通の女の子なら強がりもできませんって。流石の俺でも、初めて目の前で人が死んだときは数ヶ月部屋に籠ってましたし」

そう言われ、私は何も言い返せなくなる。
確かに彼の言う通り、私は死体を見ても平然を装う余裕があった。
それが普通のことではないのだと、ショッピくんに言われて初めて気がつく。

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