【wrwrd!】ダンガンロンパ Last〜ボクらのカンキンユートピア〜Part9

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ19

彼らの言い分に納得がいかないまま一歩後ろをついて歩いていると、また扉が現れた。
使い古されたような両開きの赤い扉だ。

「ここ、何の部屋？」

てっきりシャオロンくんとグルちゃんの研究教室で終わりだと思っていた私たちは、当然扉に興味を抱く。
ショッピくんが何の躊躇もなく扉を開けると、一瞬紙が舞い上がった。

「ゴホッ…なんか埃っぽくない？」

潔癖症らしいゾムくんは、袖を口元に当てあからさまに顔を顰める。
見たところ、ここも誰かの研究教室らしいが。
当分人が出入りしていないのか、少し埃っぽい上に物が散乱している。
扉を開けた時に舞い上がった紙たちは、元々床に散らばっていたものだ。

「…足の踏み場もないな」

さっさと入っていくショッピくんに続き、エーミールくんも床の紙を避けながら進んでいく。
私は、鼻と口を塞いだまま部屋に入りたがらないゾムくんの背中を軽く押した。



「研究教室っぽいですけど…」

自信なさげに呟くショッピくんの言葉を聞きながら、私は散らばった紙のうちの一枚を拾い上げる。
紙にかぶった埃を軽く払うと、その紙がテストの答案用紙であることが分かった。

「この紙、答案用紙だよ。14点しかないけど」
「は？ひっく！」

私の後ろから答案用紙を覗き込んだゾムくんは声を上げた。
答案用紙の右上には、デカデカと赤色で「14点」と書かれている。
他の紙も拾ってみたが、全て30点も満たない赤点の答案用紙だった。

「黒板もありますし、ここの研究教室は教室を模しとんのかも」

そう言って壁を指差すエーミールくんにつられて顔を上げると、備え付けられた黒板に白いチョークで「補習」と書かれていた。
その隅の方には、水が入ったバケツとモップを持って立たされる男の子の絵が書かれている。
よく見ると、壁一面には「準備室のカギを紛失、今回で十二回目、次はない」といった内容の貼り紙が何枚も貼られていた。
当然全ての貼り紙が同じ内容なわけではないが、似たような内容が多い。

「補習？カギ？何のこと？」

ゾムくんは研究教室をぐるりと見渡してから首を傾げた。

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独→←CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す