【wrwrd!】ダンガンロンパ Last〜ボクらのカンキンユートピア〜Part9

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ14

「っ、！」

驚いて絶句する私の後ろから、ゾムくんとショッピくんも集合写真を覗き込む。
ショッピくんはエーミールくん同様の反応を見せるが、ゾムくんは違った。

「あ？この眼鏡、」
「っチーノくんだよ…」

写真に写る男子生徒の姿に、ゾムくんは彼が誰なのか気が付いたようだ。
しかし私はそんなゾムくんの言葉を遮って、男子生徒の名前を呟いた。

「‘‘チーノクン’’？」
「そのチーノって、Aさんの知り合い？」

尋ねてきたエーミールくんとショッピくんに、私は「うん」と頷く。

「チーノくんも超高校級の才能の持ち主だよ。詳しくは思い出せないんだけど…」
「…もしかして、Aさんは記憶があんの？」
「ちょっとだけだよ。思い出したのも最近だし」

エーミールくんは興味深そうに「へー」と声を漏らす。
こうして写真に残っているのだから、彼らもチーノくんと面識があるはずだが…。
自分だけがチーノくんの存在を覚えているだなんて、何だか変な気分だ。


「チーノって奴のこと、他には何か覚えてることとかないんですか？」

するとショッピくんは集合写真を見ながら、チーノくんを指差した。
突然そんな質問をされて、私は「っえ、」と言葉に詰まる。

「ごめん、チーノくんの才能が何だったのかもよく覚えてないから…」

まあ空き個室に‘‘超高校級の劣等生’’と書かれたプレートがあったから、彼の才能は‘‘劣等生’’で間違いないのだろうが。
エーミールくんとショッピくんには、私の代わりにゾムくんが説明してくれた。
超高校級の劣等生という存在が、恐らくチーノくんだということ。
チーノくんも私たちと同じようにこの学園へ連れて来られ、退学させられたこと。
それらを聞かれた彼らは、何処か他人事のように相槌を打つ。
突然こんな話をさせられて混乱しているのは、聞かなくとも分かった。


「現状チーノのこと覚えてんのは、Aさんだけってことですよね。でも退学させられた理由は分からんと…」
「その理由も含めて何か分かることがあるかもしらんし、この写真は誰かが持っとこ」

腕を組みながら言ったショッピくんから、集合写真を受け取ったゾムくん。

「Aさんがええと思う。一番記憶もあるわけだし」

エーミールくんのその言葉に「じゃあAちゃんね」と言うと、ゾムくんは私に集合写真を渡して来た。
死んでしまった皆も写っているこの写真。
何よりマンちゃんが写っていることが嬉しくて、私は満更でもなく素直に受け取った。

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独→←CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す