【wrwrd!】ダンガンロンパ Last〜ボクらのカンキンユートピア〜Part9

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ12

四階までの階段を上りきると、昨日まではなかったはずの、上に繋がる階段を見つけた。
一気に二段飛ばしで階段を駆け上がっていくゾムくんと違い、私は息が上がる。
「頑張ってください」なんて隣でショッピくんとエーミールくんに励まされながら、何とか五階まで上がった。

「ふぅっ…やっぱり五階までは大変…」
「この学校、何かと不便ですよね。トイレ、一階にしかないし」

私と違い、ショッピくんは一切疲れのない顔で平然と言う。
そんな彼でも、不便は感じているようだ。
トイレに行くためだけにこの階段を往復するなんて、考えただけで嫌になる。
もしエレベーターが解放されたとしても、いちいち乗り降りを繰り返すと思うと手間だ。

「ま、この階に来ることは少ないと思うけどな」
「えっ、何でですか？」

私たちの会話を聞いていたらしいゾムくんがそう言うと、エーミールくんが聞き返す。

「だって、グルッペンを除いた俺ら4人の研究教室はもう解放されたやろ。今更解放された五階に、大した施設ないと思う」

そう答えたゾムくんに、「なるほど」と納得の声を漏らすショッピくん。
現段階で研究教室が解放されていないのは、最初に死んでしまったシャオロンくんと、今ここにはいないグルちゃんだけだ。
解放された五階にあるのは、二人の研究教室くらいだろう。
そんなことを考えながら薄暗い廊下を歩いていると、案の定派手な黄色の扉が現れた。



「これ、誰の研究教室？」
「黄色て…」

夜の病院のように暗く静まり返った廊下には、不似合いな程目立っている扉。
…あのグルちゃんの研究教室ではないだろうし、消去法で考えるとシャオロンくんの研究教室か。
グルちゃんとの鉢合わせを恐れつつ、黄色い扉のドアノブを捻った。

ファンシーな扉とは対照的に、中は至って‘‘普通’’の研究教室。
壁に沿って並べられた棚には、銃器やらナイフやらが整頓して置かれている。
グルちゃんの総統と言う才能とは少し違うようだし、やはりシャオロンくんの研究教室で間違いないらしい。

「…扉の色、黄色にする必要あった？」
「下手したらゾムさんの研究教室より凶器多いですよ」

飾られている凶器の数に、苦笑いを浮かべながら言うゾムくんとショッピくん。
いくらシャオロンくんの才能が‘‘超高校級の軍人’’とは言え、あまりにも安直すぎる研究教室には呆れた。
戦車を模したオブジェまで置かれているが、シャオロンくん本人が見たら何と言うだろう。

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