【wrwrd!】ダンガンロンパ Last〜ボクらのカンキンユートピア〜Part9

CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ1

裁判終了後、ゾムくんはロボロくんの死が不当だったと茶番ちゃんに訴えていた。
処刑でも、ロボロくんは時間内にゴールに手が届いていたはずなのに何故爆発してしまったのか。
そう問い詰めると「胴体がゴールしないと、ゴールした判定にならないんだよ」とか何とか。
それ以来ゾムくんは、ずっと茶番ちゃんに対して怒っている。


「…機嫌悪いところ申し訳ないんだけど、大事な話があって」
「大事な話？」

夕食の準備をする私の隣で調理台に腰掛け、相変わらずぶすっとしているゾムくんに声を掛けた。
すると彼は、私に対して怒っているわけではないからか、いつもの調子で「なにそれ」と返事をする。

「ゾムくんは覚えてる？私が思い出した‘‘記憶’’のこと」
「ああ、えっと…ぐるぐる眼鏡した、サスペンダーの男やろ？」

ゾムくんは指で眼鏡のレンズを作りながら、そう答えた。

「うん。実はその男の子の他にも、思い出した記憶があって」
「っえ！？」

ゾムくんは驚いて声を上げる。
私が思い出した後に兄さんの死体を見つけ、捜査と裁判が続いたため、ゾムくんに話す機会がなかった。

「そ、そんなんいつ！？何処で思い出したん！？」
「ゾムくんに刺された時に」
「…どんな？」

首を傾げ、質問を繰り返すゾムくん。
それに答えるため、私は料理する手を止めた。

「私、前にもゾムくんに刺されたことがあるみたいなの」
「は？」

何じゃそりゃ、と言いたげに間抜けな顔をする。
そして恐る恐る「それが、思い出した記憶？」と尋ねてきた。

「その時のゾムくんが、どんな状況で私を刺したのかは分からないけど…ごめんって謝ってたのは覚えてる」
「間違いないねんな？俺が、前にもAちゃんを刺したのは」

彼の問いに「うん」と頷くと、ゾムくんは複雑そうな顔をして腕を組む。
他にも、思い出したもう一つの記憶である‘‘ロボロくんと大先生のこと’’も、ついでに話した。
あのとき私が彼らと話していた場所は、この学園の食堂だった。

「前にゾムくんが言ってたでしょ。私たちに記憶がないだけで、本当は誘拐されてから何ヶ月も経ってるかもしれないって」
「確かに言うたけど…」
「私が思い出した記憶は、その期間の一部だと思うよ」

とは言え、まだその‘‘記憶’’を何一つ思い出していないゾムくんは、私の話に納得し切れないようだった。

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