【オリジナル】たいせつなひと

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「何組？」



「12」



「嘘、私も12」









高校の入学式




昇降口でたまたま会った私たちは




お互いのクラスを確認した









「俺らと仲良いやつたくさんいるし、



楽しくなりそうだな」







「だね！」








そう笑って、二人で講堂にむかった






大勢の生徒や保護者の中に、




知っている人がちらほら





新鮮な気持ち


不思議な感覚







彼と同じというだけで




気が楽で



これからが楽しみで






うきうきしてる



っていう言葉があうくらいに





心が軽かった









「俺、杉村直矢！


君の名前は？」





「私、成河A


よろしくね」





「こちらこそ！！」









隣に座った杉村くんは、とても明るくて



犬みたいにかわいい子だった








「一緒に歩いていた子は彼氏？」




「ううん、違うよ


でも、すごく大切な人なの」



「ふぅーん、何か、面白そう」









無邪気に笑うこの子は、


全くと言っていいほど嫌味のない人間に見えた









そういう、苦労をしらない世界を




この明るさで生きてきたんだろうと




容易に想像がつく









少し、羨ましく思った









「あの子の名前は、なんていうの？」





「藤崎蒼琉、同じクラスだよ」




「じゃあ、仲良くならなきゃ！」









この子といれば、私の心の闇も




彼との関係も



一新するのかな





一新してほしいな





そう思った

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