第三章 進歩 ページ31
あの音楽室の日から三年が経った
その日も私と彼は音楽室にいた
体格も、声も、仕草も
随分男らしくなった彼は
私の隣に椅子を持ってきて座った
中学校の卒業式が直前に迫り、
先生たちの提案で、
全校生徒で合唱をすることになった
その指揮者と伴奏者に選ばれたのは、
彼と私だった
「Aに自由にやりなよって言ったけど
あれ、本当は
俺が自分で作るのが怖かったからなんだ」
「そんなの知ってるよ」
二人で笑った
この一年は、お互いに恋人が出来ることは無かった
お互いに恋人になる気もなかった
一緒にいたいときは一緒にいて
離れていたい時は離れて
話したい時に話して
会いたい時に会って
でも決して束縛はしないし、されない
家族のようで家族じゃなく
恋人のようで恋人じゃなく
友達のようで友達じゃなく
仲間のようで仲間じゃない
中途半端で、曖昧な関係を保って
ここまで歩いてきた
私たちにしかわからないこと
私たちにしか理解できないこと
色々な時間を共に超えたから
これ以上の関係はいらないって思える
この関係がずっと続く、
私たちはお互いにそう錯覚をしていたのかもしれない
永遠なんてない
頭で理解していても
心は理解をしていない
私たちは高校生になっても
ずっとこの関係でいられるのだろうか
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とまとちゃん(プロフ) - rei(・v・★) ”蓮依”@ 楽天好きさん» ありがとうございます!! (2018年2月4日 19時) (レス) id: dbb7af4aeb (このIDを非表示/違反報告)
rei(・v・★) ”蓮依”@ 楽天好き(プロフ) - 面白いですね (2018年2月4日 16時) (レス) id: 5c4cf51bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とまと | 作成日時:2018年2月3日 0時