【オリジナル】たいせつなひと

. ページ3

彼は笑った


「何をもってって…


お前も思ってるはずだよ、俺が一番大切だって」








この人はいったい何を言っているんだろう





私は単純に疑問に思った









私にとって一番大切なのは、


今日結婚式を挙げる旦那さんと、






私のお腹の中にいるまだ小さな命









どれだけ足掻いても、この二人の上に居座れる人間はいないだろう



いたとしても両親だけだ









勝手なことを言わないでよ




私はそう思った









勝手じゃない、事実だよ




彼はそう思ったに違いない









少し前の思い出が頭に蘇る



こんな運命になったのも、あの日が原因であったと









ごめんね



私は彼に謝った








なんでかはわからない









でも、



あの日私は彼に人生を変えられたし



逆に、



変えてしまったように思う









今ではお互いにお互いがいないと生きれない



共依存



の存在にまでなっている









これが一番大切ということなのか








大切って何だろう


あなたはいったい何なの









苦しくて、切なくて、






もう全てを投げ出したかった

第一章 初恋→←序章

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す