【アイナナ】ハッピーホーム。 6th

【253】 ページ7

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百


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Aが食器を片して、オレの視界から外れた。目の前に座るお義母さんのオレをじっと見る視線に目を合わせた。



「私ね、実を言うと百くんはAのこと大して好きじゃないんじゃないかって、遊びなんじゃないかって思ってた。」

「そんなことっ！」

「……Aのこと、好き？」

「好きです。」

「じゃあ、どんなとこが好き？」

「えっ……。」



突然の質問にどう答えれば正解なのか。そもそも、この質問に答えなんてあるのか。



「オレは、」



オレの正直な答えが正解なのか。



「全部、好きです。容姿もそうですけど、仕草とか笑顔が可愛いって思ったり……。でも、一番はオレのこと好きだって言ってくれるAが可愛くて、大好きです。怒ってるとこも照れてるとこも、泣いてるとこも愛しいって思います。」



お義母さんはにっこりと笑う。その笑顔は少しだけAを思わせた。



「あの子、昔からなんでも一人でやってたからつい、あの子なら大丈夫って思ってた。こーんなに小さい時なんか、楽のお嫁さんになる！って楽にベッタリ。」

「……。」

「でも、やっぱり寂しかったのね。自分が辛い時は大丈夫だよって笑顔を作って見栄張ってたりしたけど、そっか……。」

「お義母さん……。」

「それに気付いてくれる人、見つけたんだもんね。親としてはあの子の背中を押してあげたい。百くん、今度こそ本当に娘を宜しくお願いします。」



深々と頭を下げられるお義母さんにオレも頭を下げた。本気の気持ちが伝わるように。



「こちらこそ、宜しくお願いします。必ず大事にします。幸せにします。」

「百くんも、幸せになるのよ。」

「はい！」



あの人、何て言うのかしら。

そう呟くお義母さんの頭の中にはきっと楽とAの父親が思い浮かんでるんだろう。

幸せにすると言った手前、お義父さんに挨拶無しって言うのは男が廃るよね。



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