【アイナナ】ハッピーホーム。 6th

【262】 ページ16

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千さんは今、キッチンに立ち料理をしていた。私も手伝うと言ったのだけれど百さんの面倒を見ててとのことで面倒を見ていた。



「はあ、Aってオレの事好きなんだよね。」

「急になんですか？」

「嬉しいなあって思って。」



にひっ、と八重歯を出して笑う百さんはやっぱり可愛い。手を伸ばして彼のふわふわな髪を優しく撫でた。



「よしよし。」

「あ、あの……、Aさん？」

「ん？」

「っ…、なんでもない。」



先程まで合っていた目が合わなくなった。

悲しげな表情を浮かべる百さんを自分の胸に抱き寄せ、再び頭を撫でた。



「たまには、甘えて下さいね。」

「もう、十分甘えさせて貰ってるよ。」

「…百さんのせいじゃないです。」

「っ……。」



私の胸に顔を埋めた百さんの肩は小刻みに震え出し、力強く抱き締め返される。やっぱり一人で抱え込んでたんだって思うと悲しくなった。

百さんは自分に出来る事以上のことをこなしている。自分を責める必要なんてないのに、性格上、そうしてしまうんだろう。

だったら私が何度でも言ってあげるから。



「百のせいじゃない。」



そう言った直後に小さく、ありがとうと聞こえた気がした。

少しでも百さんの気持ちにゆとりが出来るようにと願い、抱き締める腕に力を込めた。



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