【アイナナ】ハッピーホーム。 6th

【258】 ページ12

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優しく撫でられる頭。

唇に触れる柔らかな感触。

素肌を這うえろい手付き。



「……。」

「あ、起きた？」

「何しようとしてたんですか。」

「いやー、ちょっとムラッとしちゃって。」

「最低。」



周りを見渡せば、ここは千さんの家ではなく百さんの家だった。

そういえば私、寝たのかと意外にも頭は冴えている。



「楽は……、」

「楽兄ちゃんとはさよならしたよ？」

「……なんで楽兄ちゃんなんですか。」

「え？Aってば昔、楽のこと楽兄ちゃんって呼んでたんでしょ？かーわいい。」

「今は呼んでません！」

「寝言で言ってたよ？楽兄ちゃんって。他にも百、好きとか、百愛してる、とか百とえっちした、」

「い、言ってません！！」



顔がとてつもなく熱い。

もし本当に言ってたら一生弄られるやつだよ。



「嘘じゃないよ？なんならユキに聞いて、」

「駄目ー！！」



いつものとは違うスマホを取り出す百さんを必死に止めるのだけど、当の本人は大笑い。そして、ごめん嘘、等と語尾にハートでも付きそうな物言いで私を抱き締める。



「意地悪だ……。」

「いつもの仕返し。」

「……百さんて、スマホ二台持ってました？」

「んー、ちょっとね。あ、新しい方にAの連絡先入れとかないと。アカウント増えちゃうけど当分はこっちで連絡するよ。」

「はい……。」



増やした理由は教えてくれない。



「それと、古い方で時々何か送るけどいつもみたいに冷たく返信してくれればいいから。……いつもみたいに、冷たく……。モモちゃん寂しいっ。」



また一人で、何かを抱え込んでいるのではないだろうか。千さんに聞いてみれば分かるかな。



「分かりました。でも、私は百が大好き。絶対に私のとこに戻ってきて。」

「……うん。」

「無茶はしないこと。」

「うん。」

「一人じゃ無理だって思ったらすぐ周りに頼ること。」

「うん。」

「待ってる人達がいることを忘れないこと。」

「ははっ、すっごい増えた。」

「っ……大好き、百。」

「オレも、大好き。」



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