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薮さいど
「ふふーふーん♪」
今日は、珍しく定時で上がれてちょっと浮かれた気分。帰りにスーパーでいいお肉も買っちゃった♪
鼻歌を歌いながらエレベーターを降り、マンションの共用廊下を歩いて自分の部屋に向かう。
最近引っ越したばっかりで、この家に帰るのはまだまだ新鮮な気持ち。
そんな俺の家は、角部屋だから少しエレベーターから離れてるんだけど…
「ん？」
うちより一個手前の部屋、つまりお隣さんの玄関の前で俯いてドアノブに手を掛けている怪しい人物。
「あの」
本当に不審者だったら危ないと思って声をかけようとしたその瞬間。
目の前の怪しい人物が膝から崩れていった。
「おっと…」
咄嗟に荷物を捨てて、間一髪受け止めた。
よく見ると、その怪しいと思っていた人は普通の青年で…異常に汗をかいている。
「ハァっ、ハァっ…ゴホゴホッ…っ…」
おまけに苦しそうな、独特な呼吸音｡
「大丈夫ですか？分かりますか！」
咄嗟に声を掛けて意識確認したのは、俺の体に染みついた職業のせいだ｡
声を掛けると、青年は微かに頷き何かを訴える｡
「ゴホゴホッ…ハァ…く、すりっ…ハッ…家…」
家の中に薬があるのか
「家の中入りますよ。」
他人の家に勝手に入るのは犯罪だと重々分かっているが、緊急時の今は仕方ない。
間取りはうちとほぼ変わらず、迷わずリビングに入る。
「あれか！」
テーブルの上に無造作に置かれた薬の袋を見て、手に取る。
玄関に向かいながら、中の薬を確認して彼の病気を確信した。
「持ってきたよ。はい、頑張って吸って。」
体を起こし、持ってきた吸入器を口に加えさせると、苦しそうにしながらも吸う青年。
「スー、ゴホッ…スー…ハァッ、ハァ、ハァー…」
効き目が表れるまでの数分で、呼吸も落ち着いてきた
「落ち着いてきたね。とりあえず、家の中入ろうか。俺の背中乗れる？」
家の中まで背負おうと、背中を向けようとすると、腕を掴まれる。
「も、だいじょぶです…」
そう言ったかと思うと、ゆっくり立ち上がろうとする彼。
「いや……っほら、大丈夫じゃないでしょ。笑」
案の定、立ち上がる前にまた崩れ落ちた。
「どうせ家の中入るだけだから、乗って？」
そう言うと、少し恥ずかしそうに目を逸らし、遠慮がちに背中に体を預けてきた。
おんぶくらいで恥ずかしがるなんて可愛いやつだなぁ。
なんて思うのは小児科医の俺だからで、普通に考えたらこの反応は当前だ。
と気づいたのは、だいぶ後の話。
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オムライス王子 - 面白くて、ドキドキしながら読まさせてもらっています。続きが気になるので、更新頑張ってください！応援しています！ (2018年3月27日 15時) (
レス) id: 0d3a15936a (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - すごく面白いです！更新待ってます (2018年3月26日 19時) (レス) id: a96fea6f39 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年3月17日 21時
