拾漆 ページ33
「そんなこと言って困らせちゃ駄目だろ。」
「獅子王…！」
「えー、つまんないなー。」
「もう、いい加減にしないと一期に言いつけるわよ。あんな紳士で弟思いのお兄さん、滅多にいないのに…、少しは見習ったら？」
「ええ！？そんな風に言わないでくださいよー！それに、いち兄だって普段は……。」
「普段は？」
「あー……やっぱりなんでもないです。」
「…？」
「＿よしっ、これで綺麗に整ったわね！」
「おー。前みたいに元通りになってるぜ…。」
「なっ、もう髪を触っていただけぬのですか！？」
「今日はそこまで時間ないから、…また次の機会に、ね？」
「…はい。」
「本当はもうちょっといじりたかったけど、手持ちにこれといった物はそんなにもってなかったし…、このぐらいかしらね。
外に出歩ける程度にはなったかしら？」
「流石ですね！凄く手際が良くて驚きました！」
「とかいって全然見てなかったでしょ…。」
「あはは…バレちゃいました？」
「もう。…まあ、褒め言葉として受け取るわね。」
「それにしても、なんでまた髪を大事にしていた小狐丸があんなにボサボサになったの？
試合見ててびっくりしちゃった。」
「「「「…。」」」」
「ん？」
「…ぬしさま、もっとこの小狐丸を愛でてください。」
「うわっ！？…いきなりどうしたの？」
「ボソッ)獅子王さん、ここは隊長として」
「げっ！俺が？」
「ボソッ)このままだと小狐丸さんが話すことになりますよ？ようやく立ち直り始めたのに…。」
「ボソッ)そ、それもそうだけどよ…。
あいつには迷ったってことにしてんだから、下手に言わねー方がいいんじゃねーの？」
「ボソッ)かと言って、このまま黙るのも無理がありますよ…。
それに俺達が無理言って今の主に小狐丸さんを部隊に入れて連れてきたんですし。」
「ボソッ)だいたい、なんでここに鶴丸はいないんだよ。いい出したのは鶴丸だってのにいつの間にか消えちまうし…。」
「ボソッ)ちゃんと燭台切さんが見つけ出してくれますよ。だからそれまでなんとか」
「……。」
「「うわっ！？」」
「……何よ、そんな幽霊でも見たような顔して。小夜ちゃんに失礼でしょ！」
「…」←頷く
「脅かすなよ！」
「脅かすも何も小夜ちゃんに頼むしかなかったの。…見たら分かるでしょ。」
「ぬしさま…ぬしさま…」
「「…。」」
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作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年2月1日 1時
