05 ページ6
*
宇髄くんに手当てしてもらった突き指がすっかり治った今日。高校二年生の二学期が今日で終わる。
あれから、宇髄くんがより遠い人だと感じるようになった。比例するように女子生徒達の熱量はどんどん増していってもはやアイドルのようだった。
近くて、遠い。平行線を辿り続けるファンとアイドルみたい。何を一人で物悲しくなっているんだ、と我に帰る。
「先生、課題出し過ぎじゃない?」
「それ。冬休み二週間もないっつーの!」
炬燵でのんびりしたいなあ、とこぼした私に友達二人は物凄い勢いで「それな」と飛び付いた。ちょうどそのタイミングだった。
「A!」
廊下を曲がった所に杏と──宇髄くん。
────なんで杏と宇髄くんが一緒に?
案の定、友達二人とも同じ事を思っていたようで、「あの二人何故?え?A?え?」と頬を赤らめていた。
杏と私が幼馴染であるということは友達も知っているが、杏と宇髄くんが何故一緒なのかは分からない。
どういう状況なのか、と理解しかねていれば杏がこっち、と私に手招きをしてきた。カチカチに硬直した私に、これまたカチカチの友達二人はガッツポーズを送った。
「杏に、えっと」
「宇髄だ!」
恐る恐る宇髄くんを見れば、「あ!」と目をかっ開いた。
「君、あの時の子!なーんか見覚えのある顔だなって思ってたら。なるほど。君が煉獄の幼馴染ね」
「宇髄天元、よろしく」と宇髄くんは大きな手を私に差し出した。条件反射で、齋藤Aです、と手を出したが今更手汗が心配で仕方がない。それから、何故今まで宇髄くんと友達だったことを黙っていた杏をぶん殴りたくなった。
────待って、これってただ宇髄くんと仲良くなりたいだけじゃん。
130人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三月の専属ストーカーなつめみく - れんごくさんがむせるとよもっ、って可愛すぎて一人で悶絶するわ (10月25日 16時) (レス) @page3 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - ひよさん» ひよさん、またお会いできて本当に嬉しく思います、そしてコメントもありがとうございます(;_;)天元様と夢主のキラキラして輝く瞬間と2人の葛藤を書けていけたらな、と思っております。ゆっくりではありますがお付き合い頂けると嬉しいです!よろしくお願い致します! (2022年5月5日 18時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 蓮さま、新作ありがとうございます!! 学校のアイドル、天元さまは似合いますね♡ 純な夢主ちゃんと天元さまの恋がどう進むのか楽しみです。更新はどうか、無理のないペースで!! (2022年4月29日 20時) (レス) @page7 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蓮 | 作成日時:2022年4月24日 14時