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 しんと沈んだ湿気を含んだ空気が身体中を包んでいた。薄暗いここで響くのはだらし無い私の嗚咽だった。雨に濡れた制服に身を包んでいる身体は小刻みに震えていた。

 ──── 楽しみにしてる。

 あれは、あの言葉は嘘だったのか。膝を抱えて泣き噦るが、答えは当たり前だが出てこない。たくさんお話もした、電話もして、放課後にデートもして、手だって繋いだ。なのに、なのに何故。

 ──── 女遊びが激しいって噂だし。
 ──── 俺は普通なの。
 ──── でもそれでいーんだよ、俺は。普通を送りてぇの!

 彼の言葉と友達の言葉が交互に脳内を支配して頭痛がしてくる。やっぱり、やっぱり彼は友達がいう噂通りなのだろうか。今までのあれは全て彼の気分で、私は常に彼の手の平に転がされていただけなのかもしれない。私が一人で勝手に期待していただけなのかもしれない。きっと、きっとそうだ。そんな時だ。


「やはりここにいたか。Aは変わらないな」


 家の近所にある中央公園のコンクリート製で円形の遊具の中は、小さい頃から私の隠れ場所だった。ここに来る時はいつも泣きたくなるくらい辛いことがあった時で、でも不思議とその時はいつも杏がいた。本当に不思議だった。


「風邪を引いてしまうぞ。さあ帰ろう」
「いい。杏先帰って」
「それは出来ない」
「いいから。帰って」
「俺がAを置いて行けると思うか?」
「…………杏、これあげる」
「気持ちは嬉しいが、これを受け取る事は俺には出来ない」
「何で。私が作ったチョコ嬉しそうにしてたじゃん。杏まで貰ってくれないの?」
「そういうことではない。Aから貰ったものは何でも嬉しいぞ」
「じゃあ」
「だが、これはAが大切に想う人のために作ったものであって俺のために作ったものではない。それを俺が貰ってしまってはAの大切な想いがなかったことになってしまう。俺はそれが苦しい。大切にしてほしいんだ」


 「大丈夫だ」と杏は笑ってくれた。その笑顔に私はまた大きな声を上げて泣いた。「泣き虫だな」と豪快にまた杏は笑った。私が落ち着くまで杏は背中をさすってくれた。そして、昔のように私を家までおぶってくれた。背中は大きくなったのに、変わらない杏の安心する香りに小さく私は、ありがとう、と言えば、「どうってことない」と杏は笑った。雨は上がっていた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 宇髄天元 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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三月の専属ストーカーなつめみく - れんごくさんがむせるとよもっ、って可愛すぎて一人で悶絶するわ (10月25日 16時) (レス) @page3 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひよさん» ひよさん、またお会いできて本当に嬉しく思います、そしてコメントもありがとうございます(;_;)天元様と夢主のキラキラして輝く瞬間と2人の葛藤を書けていけたらな、と思っております。ゆっくりではありますがお付き合い頂けると嬉しいです!よろしくお願い致します! (2022年5月5日 18時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 蓮さま、新作ありがとうございます!! 学校のアイドル、天元さまは似合いますね♡ 純な夢主ちゃんと天元さまの恋がどう進むのか楽しみです。更新はどうか、無理のないペースで!! (2022年4月29日 20時) (レス) @page7 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年4月24日 14時

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