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 それから凄まじい勢いで、私と宇髄くんの関係は変わっていった。廊下ですれ違えば、「齋藤ちゃん!」って手を振って駆け寄って来てくれる。バスケ部がお休みの日は、「一緒に帰ろうぜ」って下駄箱で待っててくれた。「これ美味そうだから行こう」って、メッセージをくれたりもする。
 日に日に、膨らみ続ける想いを風船みたいに飛ばせたらいいのにな、って思うぐらいには宇髄くんに惹かれていった。もう認めるしかなかった。


 ────宇髄くんが好きだ。


 豪快に笑うところ。バスケが好きなところ。手を振ってくれるところ。本当は普通で私と同じところ。全てが、全てが大好きだ。


「齋藤ちゃん、明日一緒に帰ろ」
「うん。約束」


 「ありがとな」って髪を撫でてくれた宇髄くんは、「部活行くわ」と最後に手を振ってくれた。頬が緩まずにはいられなかった。


「……A」
「杏。どうしたの」


 声の方に振り向けば、浮かない表情の杏がいた。手には剣道の竹刀があった。その様子からして部活に行くようだ。


「……何でもない。気をつけて帰るんだぞ」
「うん。部活頑張ってね、杏」


 道場に向かう杏の背中は寂しくて、どこか痛々しかった。その背中がどうしても忘れられなくて、スーパーの品出しのアルバイトをしている際、卵を落として割ってしまった。


「齋藤ちゃん、おつかれ」
「ありがとう。宇髄くんも」


 翌日まで、宇髄くんと帰る約束をした次の日まで、杏の背中が目に焼き付いていた。


「駅前のクレープ屋、新作出たから行かね?」
「本当?行きたい」


 杏の背中を忘れるように一度、両頬をぱちんと叩いた。想像以上に痛かったが、幾分、薄まった気がした。
 駅までの道のり。私と宇髄くんの二人だけ。心臓が煩くて、でもその騒音は緊張する私に寄り添ってくれる一番の味方なのだ。


「やっべ。行こう」


 距離が少し長い横断歩道だ。緑の信号が点滅を始めた。そして宇髄くんは私の手を握って走り出した。呼吸をするのを忘れてしまった。
 杏とはまた違う大きな背中と手のひら、ゴツゴツと関節が大きい指、髪の毛が揺れる度にふわりと香る制汗剤のシトラスの爽やかな香り。時が止まってほしい、と泣きたくなった。
 「……セーフ」と照れ臭く誤魔化すように、宇髄くんはそのまま、手を繋いだまま、歩き出した。宇髄くんの耳たぶは真っ赤だった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 宇髄天元 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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三月の専属ストーカーなつめみく - れんごくさんがむせるとよもっ、って可愛すぎて一人で悶絶するわ (10月25日 16時) (レス) @page3 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひよさん» ひよさん、またお会いできて本当に嬉しく思います、そしてコメントもありがとうございます(;_;)天元様と夢主のキラキラして輝く瞬間と2人の葛藤を書けていけたらな、と思っております。ゆっくりではありますがお付き合い頂けると嬉しいです!よろしくお願い致します! (2022年5月5日 18時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 蓮さま、新作ありがとうございます!! 学校のアイドル、天元さまは似合いますね♡ 純な夢主ちゃんと天元さまの恋がどう進むのか楽しみです。更新はどうか、無理のないペースで!! (2022年4月29日 20時) (レス) @page7 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年4月24日 14時

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