30秒 【 ころん 】

３ 秒 ページ4

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スっと、息を吸って

胸の前で手を合わせて

ドクドク鳴る鼓動を落ち着かせて

今にも溢れそうな涙を堪えて、


この1歩を踏み出せば 君に会える。

警備員さんに渡した 3枚の紙切れ



彼にとってはたったの30秒

私にとっては 永遠の宝物になる。


あなたにかけてきた時間は
30秒じゃとても足りないけど、

あなたの時間をほんの少しの間だけ独占できるならそれでも構わない。


♡♡♡



【 30秒でーす 】


震える手をぎゅっと握りしめて、
踏み出した1歩の先には 眩しいほどの君の笑顔があった。


「 こ、こんにちは！！ 」


『 こんにちは〜！！今日は来てくれてありがとう』


優しい声色にクシャッと笑う瞳
触れた手はとても暖かくて、この瞬間が永遠ならばいいのにと思ってしまった。


｢すとめも7 行きました！！ステージに立ってるころんくん最高にかっこよかったです！！｣


『 ほんとに？ 嬉しい、ありがとう！！』


あざといなぁ。
首を傾げて嬉しそうに腕をぶんぶん揺らして
生で見る彼は普段の何倍も甘ったるい。


「 ころんくんのこと応援して4年になるんです。ずっとずっところんくんの事追いかけてきました。だいすきです 」


『 そんなに応援してくれてありがとう。んっと〜、（人1）ちゃん…？…これからも応援してくれる？』


「 ずっと応援してます！！ずっとだいすきです ｣


『 ありがとう！！また絶対会おうね！！』


「 はい！絶対会いに行きます、、」


ばいばい って離された手

溢れてきそうな涙をぐっと堪えて
手を振り返した。


やっと言えた。


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