30秒 【 ころん 】

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案外それからの日々は忙しくて
バイトに大学にって休む暇もなくて
推し事する暇さえなかった。


『 で？今日当落でしょ？どうだったの？』


瑞希に聞かれて思い出した。
そういえば今日ライブの当落だ。

「 やっば、まだ確認してないわ。…急に緊張してきた、」


ここで外れたってまだ2次あるし
余裕が無いわけじゃないけど、できればいい席で見たいし


『 当たってるか外れてるかなんだからさ、腹括って見ろ！！』


「 そうは言われても、外れてた時のショックわかるでしょー？」


ムスッてしてしまった。

そうすると手元のスマホをひょいっと取られた。


『 なになに、…喜多見 A様にお申し込みいただいたチケットを下記の内容にて……ご用意しました、』


「…は、まじで…？本気で言ってる？」


こくんと頷く。


『やっぱさAの名義強いよね、今までのライブほとんど当たってんじゃん。羨ましい〜！』


年々人気になってって会場の規模もでかくなっていって昔みたいに簡単にチケットも取れなくて、

でもこの初期から使い続けてるこの名義だけは
何故か毎回当たってくれてハズレ無しだった。

でも今回だけは無理だって思って
私が応募した 子供組ライブ と 幕張の2日間
そのどっちも当てちゃうなんてよくできた名義だ。



「 入金代銀行から下ろさなきゃ、あ、参戦服も買わなきゃ。あとグッズ代もちゃんと確保して…ああ、暇がない、」



ライブまでの君たちに会いに行くために
頑張ろうって思うこの時間が好きだったりする。



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