年下彼氏、いかがですか？【Kento.N】

◯6.You side ページ6

とことんついてない日だった。

2年前、まだわたしが専門学生だった時に彼とは出逢った。


「めちゃめちゃかっこいいベーシストいてさ〜！」


なんて、はしゃぎながら話す友達を横目に、彼等が配ったらしきチラシを見ていた。


「絶対風磨のほうがイケメンだもん！駅前で路上ライブやってるとか絶対売れてないじゃん！」


って小馬鹿にしながらもなんとなく気になって。

大勢で繰り出した金曜日。出逢ってしまった。

それがトキヤだった。

．


バンドメンバーの中でも1番のイケメン。


ずれたメガネに、染めたことのない髪の毛のもっさい私。


「よろしくね？」


って差し出された手を握って、わたしは堕ちた。


メガネを外して、髪を染めて、メイクをして。
心から笑った。


ふたりだけに通じるものを感じたりした。


季節を一緒に歩んで、
ずっと一緒にいられるってそう思ってた。


でも･･･


『ごめんね。俺、バンド辞めることにした。』


10コも年上の彼は、私の知らない側面をたくさん持ってて。


わたしはそれにやっと気づいた。


ちょうど2年になる、寒い秋だった。

そしてまた、彼との出逢いでもあった。

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