片想いシンドローム

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はぁ、とため息をついて
チラッと丸山さん達の方に目線を向けると

バチっと

丸山さんと目が合った。



でも

すぐに逸らされてしまった。



まさかこっち見てた、とか…？

いやいや。たまたま、だよね。

丸山さんとは
フラれたあの日から、話す事は多々あるけど
それは仕事の時だけで
前のようにお菓子食べながら仲良く談笑するなんて事はなくなってしまった。

…私が避けてしまってるからなんだけど。


『俺はAちゃんと今まで通り仲良くしたいから』

あの時言われた言葉、嬉しかったのに。


だけどフラれたのに、
ずっと未練たらたらだし、

声が聞えてきたら意識してしまって
顔を見るたびに胸がギュッとして

でも目線の先にはあの子がいるなんて
そんなこと考えたら、

笑って話すなんてできなかった。



「Aちゃん、大倉さん終わったら丸山さんお願い」

「はい」

大倉さんのメイクが終わって、丸山さんの方へ向かおうとすると
何か言いたげにジッと見てくるので…

「なんですか？」

顔をあげて目線を合わせると、少し不機嫌そう。

「…そろそろ俺の事も気にして」

「え、」

「ありがとうございました」


こちらの返事も待たず、楽屋を出て行ってしまった。
また考えてた事がバレたのだろうか。

大倉さんの言葉が耳に残る。

私も出来る事ならそうしたい…
そうしたら、どれだけ幸せだろうか。





「Aちゃん、宜しくお願いしまぁす」

「こちらこそお願いします」


ゆる〜く挨拶して座ってる丸山さんの首回りにタオルをつけてから、いつも通りメイクを始めた。

スマホをいじりながらも、こちらを気にして顔は真っ直ぐしてくれている。こう言う所が優しい。

「髪切りましたね〜。似合ってます」

「ほんま〜？ありがとう」

にんまり笑顔で鏡越しにこちらを見てくれる。
…可愛いなぁ。


「Aちゃんも髪染めたなぁ？いい色やね」

「いい色ですよね。宮城さんにやってもらったんですよ〜」

「俺も今度してもらおうかな」


他愛もない会話が続く。
仕事モードで平常心はバッチリだ。


「あ！今日来てる新人ちゃん、可愛いな〜」



…え、



「そうですね〜。」




平常心…！




「今日ご飯誘ってみようかな」




………えぇ？！




あまりに動揺してしまい、一瞬手が止まってしまった。
ダメだ自分！今は仕事に集中！！



「彼女さん大丈夫なんですか？」

「ん？彼女おらへんよ」

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