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Aside
医務室に入っても、石田先輩はピクリ とも動かない。
でも、汗だけは壊れた蛇口のようにた止まらなかった。
「…石田先輩」
気が付けば私はずっと、石田先輩の名前を呼んで仕事をしていた。
治療を一通りして、タオルで石田先輩の汗を拭く。
長いまつ毛
キリッ とした眉毛
プックリ とした唇に、不意に ドキドキした。
#14「…ん」
石田先輩が目を覚ました。
「先輩…分かりますか?」
#14「…A?」
「そうです」
#14「…あ、試合…! いっ…!」
先輩はベットから勢いよく起き上がったけど、そのまま倒れこむ。
「先輩…!ダメです」
#14「どうしても…勝たなアカンのや…!この大会は」
「でも、先輩がダメになったら元も子もないです…!」
それ以上何も言い返してこなかった。
#14「A、1個だけわがまま聞いてくれるか?」
「はい」
#14「俺を、ベンチまで運んでほしい」
"ダメです"
そう言おうとしたけど、真剣な先輩の目を見て「はい」と頷いてしまった。
#14「…ありがとう」
そして私は、自分より20cm以上身長が高い人とベンチへ向かって歩いた。
監督「石田…!お前、大丈夫なのか?」
#14「…はいっ、なんとか…」
「一通り治療はしてあります。これからの治療は程度によって変わるので」
監督「…おう、ありがとう」
ベンチには守備を終えて選手が戻ってきた。
#19「健大…!大丈夫か?」
#14「おうっ…!」
いかにも痛そうだが、無理をして笑顔を見せる先輩の姿は
私の胸を強く締め付けた。
#19「そっか…」
#14「康晃…俺の分まで頼むな」
#19「おう、見とけ!次も0に抑えるから」
そう言って山崎先輩は去って行った。
「わ…」
急に肩に何かが乗る。
#14「ちょっとだけ…ちょっとだけこうさせて?」
「…はいっ」
私が返事をしたのは、たつがバッターボックスに入ったところだった。
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すなっち(プロフ) - ちーちゃんさん» 了解しました (2018年3月22日 21時) (レス) id: c32c3f8c05 (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - ありがとうございます!お願いします (2018年3月21日 20時) (レス) id: 3950307191 (このIDを非表示/違反報告)
すなっち(プロフ) - ちーちゃんさん» 大丈夫です! (2018年3月21日 16時) (レス) id: c32c3f8c05 (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - 特にありませんが、おまかせでも構いませんか? (2018年3月21日 14時) (レス) id: a589a13f8c (このIDを非表示/違反報告)
すなっち(プロフ) - ちーちゃんさん» コメントありがとうございます!ジャンルはこれがいいとかありますか? (2018年3月20日 23時) (レス) id: c32c3f8c05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆーき | 作成日時:2018年1月10日 23時