野球部の恋愛事情 (ページ34)

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健大side

　石川さんの一言で、Aと呼ばれるマネージャーを探すことになった。

　みんなと別れて、手あたり次第教室を探すことにした。

#14「A-！居るか-？」

　気づけばAと呼んでいた。

　廊下からものすごい足音が聞こえ覗いてみると

　猛ダッシュである場所へ向かう康晃が居た。

#14「…まさか」

　康晃が向かう方向には、あの場所がある。

#14「康晃っ…！」

　風のように走り去る康晃の後を、追うことにした。

#14「ﾊｱｯ…康晃っ…！」

　ｽﾞｶｽﾞｶと部屋に入ると、そこには棒立ちの康晃が居た。

#14「康晃？」

#19「健大っ…」

#14「居た？」

#19「…俺、Aの事守ってやれんかったっ…」

　半泣きで康晃が言う。

#14「どうゆうことだよ」

　ｽｯと康晃が動くと、そこには

　体中傷だらけで、びくともしないAが居た。

#19「俺が…俺が…もっと早く気づいていれば…」

#14「康晃…康晃は何も悪くないからな」

#19「いや…俺が悪い」

#14「なんでだよ！康晃がAの事殴ったっていうのか！？」

　ついｶｯとなって身を乗り出す。

#19「違う！」

#14「じゃあなんでだよ」

#19「アイツらが、Aを脅してたの知ってたんだよ」

　は…？脅す…？

#14「近寄るなってことか？」

#19「うん…」

#14「そっか…」

#19「ごめん…。俺、Aとどうゆう顔して会っていいか分かんない」

#14「普通でいい。康晃は康晃のまんまで」

#19「おう…！」

　先輩方と今永くん、柴田くんに連絡を入れて保健室に向かうことにした。

#19「健大、ありがとうな」

#14「なんだよ…急に」

#19「いいから、いいから」

#14「意味わかんね」

#19「じゃあ、もっと意味分かんない事言っていい？」

#14「えぇ-」

#19「A運んで」

#14「え…いやなんで」

#19「健大が初めて、名前で呼んだ女の子だから」

#14「意味わかんね」

　結局、俺が運ぶことになった。

　"無事で…良かった"と

　心の底から思った。