(物理的に)小さかった降谷さんがいる世界へと行きました。【名探偵コナン】II

第四十八話 ページ5

コナンくんと蘭さんは良くしてくださり、会ったばかりの私に傷の手当をしてくれて

毛利小五郎が帰ってくるまで飲み物を出してくれたり、お菓子を出してくれたりした。

色々されっぱなしで本当に申し訳ない。



「お姉さん、ポッケの中とか何か入ってない？手がかりを探したいんだ」


「ポッケ……ん、これは…」


「…ペアリング？」



これは、零と私のペアリング。

零に渡したペアリングには、私の名前を彫って

このペアリングには、ZEROと彫ったんだよな

零、気付いてくれたかな。



「…あれ、そのペアリング……」


「っお姉さん！そのペアリング見せて！」


「え…ああ、どうぞ」



コナンくんはペアリングをまじまじと見つめ、顔色が変わった。



「……お姉さん…安室透って知ってる？」


「…ああ」


「あのシングスの！安室さんと同じペアリングだ！コナンくんすごい！よく気付いたね！！」



そうだ。

ここは、名探偵コナンの世界。

零だって、いる。



「お姉さん、安室さんのとこへ行こう！！名前、わかるかもしれないよ！！」


「…行きたい、あの人のとこに」


「安室さんは今下にいると思います！行きましょう！」



蘭さんは私の手を取って階段の方へと向かっていく。



「僕、先に行ってるね！」



コナンくんは階段を降り、いるという零の元へと行った。



「…おや、コナンくん。お出かけかな」



嗚呼

聞こえる



「安室さんに、会わせたい人がいるんだ」



彼の声が。

心臓がドキンドキンと胸が痛くなるくらい早く鳴る。



「会わせたい、人…？」



突然、強い風がやって来て髪が靡く。

蘭さんに手を引かれ、とうとう私は階段から出て

透から見えるところまで来た。

透は突然の風で顔を手の甲で覆っていた。

風が止み、透が手を顔から外した時

私と透の目があった。



「……A…？」



ああ、そうだ。

私は、古谷Aだ。

透の声に乗せて、私の名前が私の中に帰ってきたような感覚に襲われる。

そして、目の前にいる私の好きな人に向かって

私は、走った。



「っ透！！！」



大好きな人の名前を叫び、彼の胸に飛び込み一緒に倒れ込む。



「透…透っ…！！！」



久しぶりに感じる透の体温。

この温かさが大好きだった。



「A、なのか…？本物の…夢じゃ、ないっ…？」



透の、零の深い青の瞳に微かに涙が溜まる。



「…うん」



頷きながらそう言えば



「っA！！」



彼は私を抱き締めた。

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