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ab「俺さ、ずっと佐久間が好きだったけど、ずっとゆり組推してるの、今も変わらないよ？」
dt「ははっ！それマジだったんだ」
ab「マジだよ！だから、そっちも上手くいってくれなきゃ俺が困る‥‥」
阿部の言葉に笑って誤魔化した
でも、俺も言ってて気付かされた
いい加減、向き合わなきゃだなって
(背中押すつもりが、俺が背中押されてるじゃん)
阿部が完食した皿を見て、俺も気持ちが少し楽になった
ab「ごめん、遅くまで話聞いてもらって」
dt「全然問題ないよ。それより、佐久間と話す気になった？」
ab「うん‥‥。まだ、怖いけどね」
dt「なら一安心かな」
ab「舘さんもだよ？」
dt「えっ？」
ab「せっかく再会できて、昔みたいに戻れたんだから、再チャレンジしなよ」
dt「あー、うん‥‥まぁ。」
今度は翔太から告白されて、返事を濁してるなんて言ったら、阿部は発狂するだろうな
俺は笑って返答を誤魔化すと、やっぱり勘のいい阿部は眉を寄せて疑いの眼差しを向けた
自分の事棚に上げて阿部と佐久間の事、とやかく言えないな‥‥
dt「わかったよ‥‥。だからお前も頑張れ」
そう言うと、阿部はやっといつもの笑顔で返してくれた
とりあえず、もう大丈夫だろう
阿部も帰って、片付けも終えて2階の自宅へ戻った。ポケットに忍ばせたままのスマホが、さっきからメール受信のライトを点滅させている
ひらいてみれば翔太からたった一言
『おやすみ』の文字に思わず声を出して笑ってしまった
結構無理して送ったんだろうなって思った
そもそも理由も意味も無い事にわざわざメールを使うような奴じゃないのを俺はよく知ってるから
こんな差もない4文字に色んなものが詰まって送られてきたと思うと擽ったくて嬉しかった
(もう寝てるか‥‥)
スマホの時計は既に日付が変わっていた
でもなんだか声が聞きたくなって、受話器のボタンをタップした
5コールだけ待ってみよう。それで出なかったら別の日にすればいいか
そんな事を考えながら耳元に響く電子音に心臓は次第に大きく脈打ち始めた
もし、万が一にでも出たら何て言う？
それすら考えずに電話してる自分に少し驚いている
でもそんな心配も必要なくて、とうとう5コール聞き終えてしまい、通話終了のアイコンをタップした
残念だったような少しほっとした様な、複雑な心境だった
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作者名：shiro | 作成日時：2022年4月29日 18時
