ノスタルジア 3 (ページ28)

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担任の先生に問い詰めた

「彼が自主的にとった事やから、学校側は受け入れるしかないんや」

そう言うだけで本当の所は分からない

もしかしたら学校側が退職させる方向で話をつけたのかもしらん

結局の所、誰も本当の事を話してはくれなくて

彼はもう居ないという結果だけが残った

その事実を受け入れるには、あまりにも突然すぎて

でも俺は悲しいとか寂しいという感情よりも先にほっとしていた

彼に与えられた痛みも絶望感も、俺の中に深く刻み込まれたけど、もうこれ以上傷つかないと思えたら

不思議とそんな感情が生まれていた

あの一件があって以来、俺はまともに恋愛が出来んくなった

いいなぁと思える人には何人か巡り会えた

恋になるかもしれんと思える人も中にはおったし

でも肝心な所であの記憶が蘇る

また裏切られるかもしれん

そんな事、早々ある話やないって思ってみるけど

体は正直で、一度考えてしまえば途端に呼吸が荒くなって手が震えてしまう

あの人は、俺に最悪な置き土産を残してくれた

もう二度と会うことは無い人間の影に怯えながら‥‥

それから数年経って、彼に再び再会して

俺の中の雁字搦めになっとった思いは彼の一言で全部崩れてくれた

残ったのは虚しさ。心は空っぽになった

彼は新郎側の友人代表としてスピーチに立った

昔のまま、相変わらず爽やかで好青年を絵に描いたような人やった

あの頃と違う事と言えば、左手に光るシルバーの指輪

いつの間にか結婚してた

俺は親族側のテーブルで、彼は友人側のテーブルだったため少し離れていたけど披露宴の間、何度か目が合った

だけど決して俺のいるテーブルに来ることは無く、俺も酌に回るけど、敢えて彼の席へ行く事はせぇへんかった

お互い、それなりに過去の出来事を引きずってたんやな

やっと言葉を交わせたのは二次会も終わりかけた頃

話しかけてきたんは彼のほうから

まぁ、だいぶ回っとる感じやったから、酒の力借りたんかなって思った

『よぉ康二、久しぶりやな！元気やったか？』

よぉ言うわって思ったわ

披露宴で散々目ェ合わしとって声すらかけてこんかったくせに、二次会も終盤になった頃に酒飲んだくれて『久しぶり』て‥‥