ノスタルジア 3 (ページ19)

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ラウールと俺が、舘さんの店の前までやって来るとラウールが急に足を止めた

ru「めめ、ここからは僕1人で行っていい？
この時間ならまだ休憩中だから‥‥」

mm「いいよ。舘さんに褒めて貰ってこいよ」

ru「うん。ありがとう、めめ」

ラウールはそう言うとゆっくりとした足取りで店内へと入って行った

俺はその背中を見送ると、踵を返して来た道を戻る形で歩き出した

向かう先は康二くんが居るかもしれない本店へ

本店へ向かう途中にある河川敷の横を、穏やかな川の流れに沿って歩いてみた

ラウールの付き添いも兼ねてたから普段の倍は歩いていた俺

初夏の日差しも手伝ってじんわりと汗が滲み出た

丁度学校も衣替えの時期で、長袖のワイシャツを腕まくりしながら歩いていると、数メートル先に見知った後ろ姿を見つけた

mm「あっ‥‥」

ほとんど無意識に声が出ていた

俺の視界が捉えたのはいつもいつも俺ばかりが追いかけている、堪らなく恋しい背中

一歩、また一歩と徐々に歩幅が速くなる

(こんなチャンス逃がしてたまるか！)

気がつけば走り出していた

mm「康二くん！」

後ろ手になったところで彼の手首を掴んで名前を呼んだ

久しぶりに触れた康二くんの腕は相変わらず細くて、でも温かくて実感できる喜びに胸の奥がきゅってなる感覚がした

kj「おぉ、めめやん‥‥」

振り返った康二くんは思いの外、反応が薄くて

なにより目の下に出来たクマが気になった

mm「なんか、疲れてる‥‥」

思わず出てしまった言葉にハッとして口を噤んだけど、康二くんの耳にはしっかり届いてて

慌てて口を押さえた俺に向けて『ふはっ！』て力なく笑って見せた

kj「いや、それ素直な反応やで？
俺今日休みやってんけどdeuxに顔出してん。ほんでふっかさんにカット見て貰お思ててんけど、俺の顔見るなり『帰って寝ろ！』って

まぁ、最近まともに睡眠取れとらんかったなぁって思っとったし、当然ちゃあ当然なんやけど」

康二くんは『ははっ』て笑うんだけど、声にチカラが入ってない

mm「俺もふっかさんと同意見なんだけど」

そうやって言えば、ため息のような息をひとつはいて、困ったように眉尻を下げて笑ったように見えた