ノスタルジア 3 (ページ11)

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そこまで切り出せば、涼太も観念したのかパタンと救急箱の蓋を閉じると俺のほうへと顔を上げた

dt「あの時って、卒業式の時？」

ポーカーフェイスを作るのが得意だから、俺が見た限り動揺してる風には見えなくて

涼太の感情が読み取れない分、俺の不安が少し膨らんだ

nb「そ、そう‥‥」

dt「もう10年も前の事、今更どうしたの？」

nb「ずっと謝りたかった‥‥」

dt「謝るって、何を？
あれは翔太の本心でしょ？俺を傷つけたとか思ってる？」

少し口調が強めになる涼太

明らかに怒ってる

nb「そうじゃなくて‥‥」

dt「たしかにフラれて辛かったけど、それは俺の気持ちであって翔太が気に病む事じゃない。
それに、傷つけたって言うなら俺のほうじゃん‥‥

俺があんな事言わなければ、10年もみんなと疎遠になる事なかったのに‥‥」

伏し目がちに涼太が言った

確かにあの後の俺の行動は、そう捉えても仕方の無い事

でも、そうじゃないんだ

nb「会わす顔がなかった‥‥

俺の身勝手な考えで涼太を振り回したのに、お前は最後まで優しくて。だからみんなにも、涼太にも会いづらくて‥‥」

dt「身勝手な考えって、あれは仕方ないだろ？気持ちの問題なんだから。
翔太が責任感じる事なんて何ひとつなっ‥‥！」

nb「違うっ！！」

伝えたい事は沢山あるのに、伝わらないもどかしさに声を荒らげて涼太の言葉を遮った

nb「好きだったんだよ、涼太の事‥‥」

勢いで出てしまった言葉だったけど

もう今しかないって、そう思った