【短編集】魔法使いと12人の契約者

【小説】昔の話(碧華) ページ2

自分が死ぬ前の話。


学校へ行くと、いつも通りの光景。

落書きまみれの机、ボロボロの教科書。

落書きはいつでも「死ね」「消えろ」などの言葉

…だからと言って、泣かない。いや、泣けなかった。

繰り返されるたびにどんどん感情が消えていくように。

少女は「ハハッ…」っと乾いた笑みをこぼして言った

「…これって、運命なのかなぁ…それなら、これをする人達は可哀想だね…？」

そんな事を呟いたら、どこかに連れて行かれる。




誰もいない、暗い場所に連れて行かれた少女は暴力を振るわれ、閉じ込められた。

…そこは、体育館裏の倉庫だった。

少女は慣れたようにマットを探し、寝転んだ後、ボソッと独り言をつぶやいた。

「…家に帰ったって、こんな感じだし…私、生まれ変わったら良い所があって優しい、そんな子になりたいな…」

そんな呟きは埃臭い空気に消えていった。









そんな少女、月宮愛華がチェムに連れ去られ、死亡し、イロハのおかげで息を吹き返した時には、この記憶が消え、代わりに「良い所、取り柄が欲しい」という思いが残されているというのはまた別の話。

【イラスト】らくがき(宗谷)→←【小説】魔法使いの思い出話(雪華抄)

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