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苦手なもの ページ10

心地良い静寂が部屋を包み込んだ。

目を開くと先ほどと変わらない狭い部屋。
だけどまだ夢を見ているみたいに、景色がホワホワしていた。

歌い終わった千さんと目が合って小さく微笑み合う。

「どうだった?」

『ふわふわしてる。夢を見てるみたいだった!』

「ふふ、そう。楽しんでもらえたのなら良かったよ。」

『……あ、』

思い出してきょろっと部屋を見回して気付く。

『…女の人、いなくなってる。』

「ホント?良かった、満足してくれたのかな?」

「大満足だよ!幽霊もオレもAも満足させちゃうユキ、無敵だね!!」

「モモも満足させる側だからね?」

『うん、今度は二人の歌聴きたい!』

「っはは!じゃあ、歌おう。Aのためのスペシャルライブしよう。」

そう言って千さんがまたギターをかき鳴らす。
笑って兄ちゃんも一緒に歌う。

リズムに合わせて体を揺らして、手を合わせて、笑い合って、疲れて寝転んで、また笑って…。
気付けば空は赤く染まっていた。

「…そろそろご飯の時間だね。夕飯作るから待ってて。」

エプロンをして台所に立つ千さん。
私と兄ちゃんは途中で止まっていた私の荷物の片付けを再開することにした。

…あ、そういえば、もう一人いた幽霊さん。
……今は、いない?
てっきりここに住んでる幽霊なのかと思っていたけど、そうでもないのかな?
まぁいいかと思い、衣服を整理し始める。

と、ここで困ったことの二つ目。

『……ひっ!』

服を畳んでいた手が止まる。
視線も一点を見つめて動かせなくなる。

私の視線の少し先に、大きな、……あれはクモ?

あれ?おかしいな。虫平気なはずだったのに。
今の私の中にあるのは嫌悪感と恐怖と、あと何か言い表せないゾワゾワした感覚。

そんなことを考えている間にもジリジリとこちらへにじり寄ってくるクモさん。
身体が固まって動けず、後ろで本の整理をしていた兄ちゃんの服の裾を握って助けを求めた。

「ん?どうした?」

振り返ってすぐに原因に気付いたらしく、「ちょっと待ってて!」と言って立ち上がると、クモをティッシュにくるんで窓から逃がしてくれた。

「ふっ、あはは!A、虫苦手なんだ!幽霊は平気なのにね?」

『…うぅ、ありがと兄ちゃん。……前は苦手とか思わなかったんだけど。…なんでだろ?』

「子どもの頃は結構みんな虫平気だったりするからね。…ふむ、てことはAはちょっと大人になったってことなのかも…?」

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作品ジャンル:アニメ
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時

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