条件 3 ページ50
『別に気付かれても良いんです。私のことをどう見るかは、見る人次第だから。
私は、私でいるだけです。』
そう、私のままで良いんだ。
柊雨も、私だった。
それは消せない事実だから。
嫌な記憶でも、苦しい記憶でも消えないなら蓋をして楽しい記憶に紛れさせちゃえばいい。
「…そうか、悪いように情報が操作されないよう万全を尽くそう。
…それともう一つ、お前たち兄妹のことだが…」
「うん、それも今日言っておこうと思って。」
兄ちゃんが頷く。
信頼できる人ならちゃんと言っておこうと事前に話していたことだ。
こちらを見た兄ちゃんの目を見て、私も頷く。
「本当はね、オレとA、まだ正式に兄妹じゃないんだ。…気付いてると思うけど、血も繋がってない。
だけど、オレはAのこと本当の妹だと思ってる。」
強い目で社長を見つめて言う兄ちゃん。
社長は黙ったまま兄ちゃんを見ている。
「オレの親のことは、オレが何とかする。
Aには兄がいて、オレには妹がいる。…それは、分かっててください。」
「…別に血が繋がっている、繋がっていないの話をしたいんじゃない。兄妹ならそれはそれでいい。私が話したいのは、そのことを世間に言うか言わないかの話だ。」
「ぁ、そう、ですか…。…あ、はは!そうだね!どっちも芸能人なわけだし!」
少しだけホッとしたように見えた、気がした。
「どうしよっか?」
兄ちゃんが私を見る。
世間に言うか言わないか、私が決めていいみたい。
…それなら、
『…ううん、まだ言わない。まだ言わなくていい。』
「"まだ"?」
『知られる時はもっと私もRe:valeも有名になってからの方がサプライズっぽくていいでしょ?』
ニィ、と笑って見せると、兄ちゃんも千さんも一瞬キョトンとした後プッと吹き出す。
「あはは!確かにそうだ!【アノ大人気歌手Aが大人気アイドルRe:vale百の妹!!?】って見出しになった方が衝撃あるからね!」
「くくっ、いいね、そういうの。面白そうだ。」
『ただ、妹がいるってことは言っておいてほしいかな。一緒にいる時に撮られても妹だって言ってたら変な風には書かれないだろうし。』
「分かった!めっちゃ仲良いって言っとく!!」
「僕も。」
『ふふっ、うん!』
…と忘れかけてた。
社長の方を見るとやっと終わったか、といった表情をしていた。
「…分かった。お前たちの事情は限られた者しか知らないようにしよう。私と、…マネージャーは知っておいたほうがいいか。」
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時