一歩 2 ページ46
最近はこの夫婦漫才も好評らしく、世間のRe:valeのイメージも固まりつつあるようで、それに伴って2人の関係性も以前とは少し変わった気がする。
どう変わったかって聞かれると、上手く答えれないけど。
抱きつく兄ちゃんをヨシヨシとなだめる千さん。
もう少し続きそうなので少し放置しておいて見慣れてしまった光景から視線を外すと、目の前に座っている人物の方に移す。
『…この間は、失礼な態度を取ってごめんなさい。八乙女社長。』
「…別にいい。黒瀬と一緒にされたら困るがな。」
『…あはは、しないですよ。あなたと黒瀬は全然違うから…。』
「そうか。」
少しだけ、八乙女社長の眉間の皺が緩んだ(気がした)。
広い社長室には大きな応接テーブルとソファ、それに今社長が座っている立派な机と椅子。
壁にはたくさんの賞状、大きな棚には本やファイルのほかに写真も飾られている。
あれは…家族写真…?…いや、友達と、かな?
こっちは知ってるタレントさんが写ってるし、何かの記念写真かな?
「…漫才をしに来たのなら帰ってもらおうか。」
八乙女社長の声にハッと視線を戻す。
私の背後の2人を見て、あからさまに不機嫌な声でそう言う八乙女社長に慌てたように兄ちゃんが駆け寄る。
「待って待って!ちょっと場を和まそうとしただけだって!!この部屋空気重いんだもん!暗い話をしに来たわけじゃないでしょう!?」
「そうそう、ちょっとした冗談ですよ。保護者っていうのは本当だけど。」
「えっ!本当にユキがパパっ!?」
千さんが付け加えた一言にまたも食い付いた兄ちゃん。
千さんも楽しそうに笑ってまたそれに乗っかる。
「そうなるとモモがママだね。」
「はうぅっ!ダーリンイケメン〜///」
うん、夫婦に戻ったみたい。
ウインクした千さんにハートを射止められたらしい兄ちゃんは両手を頬に当てて悶えている。
…大丈夫かな、この人たち。
…一応アイドルなんだよね?
まぁ、今までにないタイプのアイドルなのは間違いないけど。
「話が進まん!!早くそこに座れ!!」
八乙女社長の言うことはもっとも。
渋る千さんと兄ちゃんを引っ張ってソファに座らせる。
それでも座った途端、「わ、めっちゃフカフカ!!」とか話がズレていくものだから社長のこめかみに青筋が浮かび始める。
「…お前たち、一体何の話をしに来たのか分かっているのか?」
「分かってますよ。Aとの契約の話でしょ?」
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時