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退院準備 【百side】 ページ4

Aの体調が急激に好調に向かっている。
矢島さんからオレとユキのおかげだと言われた。
心の傷が癒えてきている証だと。
でも全てが癒えるわけではない。
これからもたくさん辛い時があるだろうから、側にいてあげて、と。

嬉しかった。
つい数ヶ月前まで他人だったのに、家族になってAを支えている存在にオレがなっている。
もちろん不安も問題もある。
一緒に住むとしてもAに満足に食べさせることが出来るかなとか、勉強や学校はどうするだとか、お金のこととか…。

【…お金……。】

特別に治療費や入院費は分割して何ヶ月かに渡って払ってもいいよと言われた。
病院側もAの事情を理解してくれていたし、サポートも支援も全面的にしてくれて本当にありがたかった。

Aのリハビリに付き合った後、もうすぐ退院しても大丈夫と言われて嬉しそうなAの顔が一瞬だけ曇ったのに気付いた。
少しでも不安を取り除こうと、目が合った時に笑って大丈夫だよと伝える。

オレに出来ることは全部やろう。
矢島さんやリハビリの先生から退院後の生活について注意することを聞いた。

「あ、矢島さん。もう一つ聞いてもいい?」

「うん、どうぞ?」

「Aってなんかアレルギーとかあったりする?食べ物とか、花とか、金属とか。」

「いや、無いよ。至って健康体!…あ、でも高い所と暗い所は苦手みたい。…気を付けてあげてね。」

「…うん、分かった。」

言葉にはあの時の事件の意味が含まれている。
悲しそうに微笑む矢島さんの言葉に大きく頷いた。
「それと…、」と矢島さんが言葉を続ける。

「雨の日は時々頭が痛くなるって言ってた。多分、湿度とか気圧とかのせいだと思うんだけど。」

「…それってもしかして額の傷の?」

「…多分ね。」

分かった、ともう一度大きく頷いた。

…まだ、ユキには言っていない傷だ。


次の日、ユキと一緒にデパートに来た。
Aの退院祝いを買うためだ。
買うものは決まっていた。
ユキにも話していたし、Aがこれから少しでも気にせずに生活していけるように。

「…あ、モモ見て。これとかAに似合いそう。」

「ホントだ可愛い!」

言いながら値札を見て二人して固まる。

「…も、もう少し安いやつにしない?」

「…でも、いいやつあげたいでしょ?」

「この金額は今のオレ達一週間は余裕で暮らせるよ!?」

退院準備 【百side】→←三人と矢島さん



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作品ジャンル:アニメ
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時

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