オレに出来ることを。 【百side】 ページ28
楽しいことも、苦しいことも経験して、成長していける場所だから。
…でも、それを決めるのはオレじゃないよな。
「…うん、Aに任せる。行きたいって言うなら行かせてあげたい。行かないって言うなら無理して行かせたくない。その分Aが好きなことをさせてあげたい。」
顔を上げるとユキと目が合った。
ユキは小さく微笑んでオレの言葉に頷く。
「そうだな、それでいいんじゃないか?他に興味があることは自主的に勉強しているみたいだし。」
社長もそう言いながら頷いてくれた。
「僕に会っても本ばっかり読んでたからね。」と付け足す社長にどこか満足げな表情を浮かべるユキ。
「フン、凛太郎なんかに興味が無いんだよ。」って顔してるよ、ユキ。
…それは口にしちゃダメだからね?
いくら社長でも多分傷付くからね?
「今のAに必要なのは、学びじゃなくて経験だ。だから僕はAに音楽をさせることは賛成だよ。
…黒瀬にいた時の環境は最悪だったと思うが、才能はその頃から顔を出していた。力を入れれば確実に一級品だ。ウチに来てほしいくらいだが、事情もあるしね…。」
Aの歌はユキが認めたんだ。
最高なんだって分かってる。
それと、岡崎事務所じゃダメだってことも。
「うん、分かってるよ。Aが音楽をやりたいっていうなら守れる場所はオレたちが探す。…ありがとう、社長。」
「いや、助言くらいしか出来ないしね。…それで、アテはあるのか?」
Aを守れるくらいの力があって、かつ、Aがしたいように動ける事務所、か。
「…とりあえず、黒瀬と関わりの無い所が前提かな。あと、ツクモプロと星影芸能はダメ。」
パッと頭に浮かんだ事務所を口に出す。
「え?なんで?あそこ結構大きい事務所でしょ?力があるならAのこと守ってくれるじゃない。」
不思議そうに声をあげたユキにおかりんが眼鏡をキラッと光らせた。
「結構というか、すごく大きい事務所ですよ!【二大帝国】と呼ばれるだけあって、規模も影響力もケタ違いです!」
おかりんの言葉に頷く。
ユキは知らないんだ。
…いや、知らなくていいんだ。
二大帝国がどれだけ怖いかってことも。
「…だからだよ。そこ二つは業界のトップだ。事務所のいいように人や情報を動かすことだって簡単に出来るんだよ。こっちに有利に話を付けれる可能性は低いと思う。」
「…それじゃどうやって探すの。」
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時