これからのこと 2 【千side】 ページ26
「……それって、Aにもう一度芸能界に立ってほしい、ってこと?」
モモの目が少しだけ鋭くなった。
「そうは言ってない。…Aには才能がある。ここで潰すべきじゃない。」
「…そうだとしても、オレは反対だよ。何か活動をすれば必ず誰かの目に留まる。もし今までのことに目を付けられたら?お偉いさんやマスコミに狙われたら?黒瀬の手がまた伸びてきたら?
……今のオレたちじゃどうにもできないよ。」
…確かに、そうだ。
そこまでは考えてなかった。
モモの言う通り、Aの事情を考えると悪いことに繋がってしまうかもしれない。
Aが傷付くのは絶対に嫌だ。
でもAの歌を諦めるのも嫌だ。
…それなら、
「…じゃあもし、Aを守れてきちんと信頼できる場所があれば、Aに歌わせてあげても良いの?」
要は外敵からAを守れればいい話だ。
それでいてAが自由にやりたいことを出来る場所。
そこがあればモモが反対する理由もなくなる。
「…そんなにAに歌ってほしい?」
「うん。自慢したい。」
「即答じゃん!」
当たり前だ。
自慢できる相手、いないし。
「…自慢したいって、Aの歌を?」
モモの目から先ほどまでの鋭さは無くなっていた。
「歌も曲もAの全部を。毎日僕が作ったご飯を食べてるってことも、怒った顔が全然怖くないってことも、たまに見れる寝顔が可愛いってことも、髪の手入れのし合いっこしてることも…」
「それならオレだって自慢したいよ!オレの妹は宇宙一可愛くって大好きだってこと!!」
真剣な表情で見合った後、フッと気が抜けたように二人して笑った。
「僕たちAのこと大好きだよね。」
「そりゃそうだよ!オレの妹だもん!!」
「くっく…どういう言い分なの、それ…?」
胸を張って自信満々に言うモモが可笑しくってしばらく肩を震わせて笑った。
モモもおかりんも笑っていた。
「…決まりだね。」
そう言うとモモも頷いた。
「うん、Aが歌いたいって言うなら。
Aを守ってくれる場所……事務所を探そう。AがAらしくいられる場所を。」
AがAらしく。
Aのことを守って大切にしてくれる居場所。
Aが笑顔で輝ける場所を作る。
「…学校はどうする?」
Aの年齢的にはまだ中学生だ。
一応義務教育ではあるけど…。
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時