千と百のRe:vale ページ21
私はコップに残るオレンジジュースと氷を見つめて思考を巡らせる。
長い沈黙を破ったのは聞き慣れた声だった。
部屋の外でドアが開く音がして千さんと兄ちゃんの声が聞こえた。
仕事から帰ってきたみたい。
時計を見るとまだ30分も経ってない。
「思ったより早く終わったみたいだな。…話はどうする？」
社長の顔から厳しい表情はもう消えていて、いつも通りの顔に戻っている。
『…うん。気になったら自分で聞いてみる。教えてくれてありがとうございました。』
言い終わった時に社長室のドアが勢いよく開かれて千さんと目が合った。
「…何話してたの。二人で？仲良く？」
「ただの雑談だよ、仲良くね。」
飲み終わったコーヒーカップを持って立ち上がりながらにこやかに言う岡崎社長を睨む千さん。
なんとなく二人とも"仲良く"を強調している。
「おかりん、凛太郎を社長室に入れるなって言ったよね？」
「すみません、後で厳しく言っておきます！」
「いやいや、ココ僕の部屋なんだけど？」
一気に騒がしくなった社長室で残ったオレンジジュースを飲み干す。
「A！ただいま！今日はユキがお好み焼き作ってくれるって！」
兄ちゃんの声に頷いて立ち上がると千さんと兄ちゃんと目が合った。
一緒に帰ろうと手を伸ばす二人を見て自然と笑顔になる。
家まで送ってくれると言う岡崎さんに続いて事務所を後にする。
千さんと兄ちゃんが今日あったことを話してくれる。
話は車に乗ってからも止まらなくて、家に着いたと思ったら次はご飯の話に変わる。
そうして気が付いたら３人で布団に潜り込んで…。
疲れていたんだろう。
しばらくすると千さんの寝息だけでなく兄ちゃんの寝息も聞こえてくる。
私もそうっと忍び込んできた眠気に身を任せて目を閉じた。
心地良い微睡の中で今日の出来事が頭に浮かぶ。
楽しそうに会話をする千さんと兄ちゃんの顔。
岡崎さんは二人を見てずっと穏やかに微笑んでた。
この空間を、関係を崩したくない。
きっと私は大神さんのことを二人には聞けない。
聞くべきじゃない。
いつか、聞かなければいけなくなったら、私が知る必要が出来たらその時に聞こう。
千さんが大神さんのことを忘れられなくったって、兄ちゃんが千さんのことをどう思っていたって、私にとって千と百の二人でRe:valeだから。
―――――
……ギィ……ギィ……
『…ん……？』
何かが軋むような音が聞こえて目が覚める。
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欅夏希 - とっても面白いです！感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています！お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (
レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます！！！ (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テル | 作成日時：2020年3月3日 13時
